遺産相続の話になると、「相続放棄」と「相続分の放棄」という、よく似た言葉が出てきます。
どちらも「相続しない」というイメージを持たれがちですが、実は意味も効果も全く異なる制度です。
この違いを知らないまま相続手続きを進めてしまうと、後々トラブルになったり、予期せぬ借金を背負ったりする可能性もあります。
この記事では、法律の知識がない初心者の方にもわかりやすく、「相続放棄」と「相続分の放棄」の違いを具体的に解説します。
1. 相続とは何か?
まず「相続」とは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利義務を、残された家族などが引き継ぐことをいいます。
相続には次のようなものが含まれます。
- プラスの財産(現金、預貯金、不動産、株式など)
- マイナスの財産(借金、ローン、保証債務など)
つまり、相続は「遺産をもらえる」という良い面だけでなく、「借金などの負の財産も引き継ぐ可能性がある」というリスクも含んでいるのです。
このような背景から、「相続放棄」や「相続分の放棄」という制度が設けられています。
2. 相続放棄とは?
■ 意味
相続放棄とは、「最初から相続人でなかったことにする」手続きです。
法律上、最初から一切の相続権を持たなかったことになるため、プラスの財産もマイナスの財産も一切相続しません。
■ 手続き方法
- 家庭裁判所に申述(申請)する必要があります。
- 相続があったことを知った日から「3か月以内」に行う必要があります
■ ポイント
- 相続放棄すると、次順位の相続人(例えば兄弟姉妹など)に相続権が移る
- 一度放棄すると、原則として撤回できない
■ こんなときに使う
- 借金が多く、遺産を相続すると損をする場合
- 遺産の争いに巻き込まれたくない場合
3. 相続分の放棄とは?
■ 意味
相続分の放棄とは、法定相続人であることを前提に、「自分の取り分(相続分)をいらない」と意思表示することです。
ただし、相続人であることには変わりないため、他の相続人との関係ではさまざまな影響があります。
■ 手続き方法
- 家庭裁判所の手続きは不要
- 相続人同士の話し合い(遺産分割協議)で放棄の意思を示すだけ
■ ポイント
- 放棄しても、他の相続人から見れば相続人のまま
- 借金などがある場合は、その債務について責任を問われる可能性がある
- 遺産分割協議書に「自分は何も相続しません」と記載する
■ こんなときに使う
- 他の家族にすべて相続させたい(たとえば長男だけに集中させたいなど)
- 自分は相続しなくてもいいが、相続人としての立場は維持したいとき
4. 相続放棄と相続分の放棄の違いを比較
項目 | 相続放棄 | 相続分の放棄 |
---|---|---|
相続人の立場 | 初めからいなかったことになる | 相続人のまま |
対象財産 | プラスもマイナスもすべて放棄 | 自分の相続分のみ放棄 |
手続き先 | 家庭裁判所 | 相続人同士の協議 |
期限 | 相続開始から3か月以内 | 特に期限なし(ただし早い方が望ましい) |
借金への影響 | 引き継がない | 他の債務者から請求される可能性あり |
撤回の可否 | 原則不可 | 協議中なら変更可能 |
5. どちらを選ぶべき?ケース別の判断ポイント
● 借金が多い場合 → 相続放棄
被相続人に多額の借金がある場合、相続分の放棄では不十分です。
借金は相続分によらず、法定相続人全員が責任を負う可能性があるため、家庭裁判所で相続放棄の手続きをしましょう。
● 財産はあるが、他の人に譲りたい → 相続分の放棄
「自分は遺産を受け取らなくてもいいけど、親族に譲りたい」といった場合は、相続分の放棄が適しています。
この場合、自分が相続分を放棄すれば、他の相続人に多めに分けることができます。
● 遺産争いに巻き込まれたくない → 相続放棄
揉め事に関わりたくない、という理由で一切の関与を避けたい場合は、相続放棄の方が安全です。
6. まとめ
「相続放棄」と「相続分の放棄」は、言葉は似ていますが、まったく別の制度です。
相続放棄 | 相続人でなくなる/借金も放棄/家庭裁判所が必要 |
---|---|
相続分の放棄 | 相続人のまま/借金のリスク残る/協議で対応 |
どちらを選ぶかは、状況によって判断が分かれます。
特に借金やトラブルの可能性がある場合は、専門家(弁護士・司法書士・行政書士)への相談をおすすめします。
相続は一生のうちに何度も経験するものではないからこそ、正しい知識を持って冷静に対応することが大切です。
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