◆ はじめに
北九州市では、製造業・介護・外食・物流など、幅広い業界で外国人材の活用が進んでいます。特に近年は、すでに日本に在留している外国人を採用するケースが増えており、企業側が「在留資格の適法性を確認してから採用する」ことが必須になっています。
しかし実務の現場では、
- 日本人を採用する感覚でそのまま採用してしまう
- 在留カードの確認を“なんとなく”で行ってしまう
- 留学生アルバイトを正社員にしようとしてトラブルになる
- 更新手続きを忘れたまま働かせてしまい“不法就労助長罪”のリスクに気づかない
といったケースも珍しくありません。
特に初めて外国人を採用する企業の場合、
- 在留カードの読み方
- 就労できる在留資格かどうか
- 今後の更新に通る仕事内容かどうか
- 留学生や家族滞在の扱い
- 入管法の禁止行為
など、押さえるべきポイントが非常に多く存在します。
本記事では、北九州市(門司・小倉・八幡・戸畑・若松など)の企業が、「すでに日本に住んでいる外国人を採用する場合」に必ず確認すべき在留資格チェックポイントを、変更申請・更新申請の観点から分かりやすく解説します。

1. 外国人採用で最初に確認すべき「在留資格の種類」
現在日本にいる外国人を雇う場合、必ずチェックすべきは“今持っている在留資格で働けるかどうか” です。
◆ 就労が認められる在留資格(一部)
- 技術・人文知識・国際業務(技人国)
- 特定技能(1号・2号)
- 技能
- 企業内転勤
- 介護
- 高度専門職
これらはフルタイムの就労が可能な在留資格です。
◆ 原則として就労不可の在留資格(変更が必要)
- 留学(資格外活動の範囲のみ可)
- 家族滞在(資格外活動許可があれば条件付きで可)
- 文化活動
- 研修
特に留学生・家族滞在については誤解が多く、アルバイトから正社員として雇う場合は「在留資格変更」が必須 です。
◆ よくある誤解
誤解①:留学生は「週28時間」働ける → ×
→ 正しくは、「資格外活動許可」がある場合のみ。
誤解②:家族滞在ならフルタイムOK → ×
→ 週28時間以内のアルバイトのみ。
誤解③:特定技能は誰でも採用できる → ×
→ 分野別試験の合格が必要。
このような誤解から “不許可” になったり、最悪の場合 “企業名公表のリスク” が生じます。
2. 採用前に必ず確認するべき「在留カードの読み方」
外国人採用において、もっとも重要なのは在留カードの“就労制限の有無” です。
企業は最低でも次の3点を確認する必要があります。
① 在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)
この欄が、外国人が働ける業務の種類を決める最重要項目です。
② 就労制限の有無
- 「就労制限なし」→ フルタイム就労可(永住者・定住者)
- 「指定された活動のみ可」→ 職務内容が重要(技人国等)
- 「就労不可」→ 原則働かせられない
③ 在留期限
更新を忘れて働かせると、企業側が「不法就労助長罪」に問われる可能性 があります。
◆ 採用前の追加チェック(更新・変更申請を見据えた内容)
在留カードに問題がなくても、今後の職務内容が在留資格の内容と一致していなければ更新が通りません。
企業が確認すべきは、
- 現在の在留資格
- 過去の職務内容(実際の活動)
- 今後従事させる職務内容(雇用契約書)
この3つが 一本の線でつながっているかどうか。これが入管の審査では非常に重視されます。
3. 初めて採用する企業が押さえるべき「仕事内容との整合性」
在留資格の変更・更新で最も問題になりやすいのが、仕事内容と在留資格の不一致 です。
◆ 技人国(技術・人文知識・国際業務)の典型例
- 外国語を使う → 国際業務ではない
- 事務職だから人文知識 → 誤り
正しくは、
「学歴(専門分野)や実務経験と職務内容が関連しているか」が審査の軸です。
◆ よくある不許可例
- 学歴:経済学
職務:介護 → 不一致 - 職歴:飲食ホールスタッフ
職務:営業企画 → 不一致
◆ 更新審査では「実務記録」が重要
更新(延長許可)では、入社後の業務内容が記録として確認されるため、
採用前に「この仕事内容で更新に通るか」を必ず検討する必要があります。
4. 採用担当者がよく誤解するポイント(変更・更新)
誤解①:日本語が上手だから雇える
→ 各在留資格の要件を満たしていなければ不許可。
誤解②:雑務を任せても問題ない
→ “許可以外の業務” は不許可理由の代表例。
誤解③:アルバイトから正社員へ自然に移行できる
→ 留学生・家族滞在は必ず「在留資格変更許可」が必要。
誤解④:とりあえず採用して、あとから変更すればよい
→ 変更は確実ではない。不許可なら雇用継続不可。
5. 採用までの流れ(変更・更新)
- 求人票作成(職務内容を明確に)
- 応募者の在留カード確認
- 職務内容と経歴の整合性をチェック
- 「在留資格更新」か「在留資格変更」が必要かを判定
- 必要書類を準備
- 雇用契約書の作成
- 入社手続き(入管手続き・社会保険・労務など)
- 入社後は「在留期限」と「仕事内容のズレ」を継続管理
6. 採用前チェックリスト(保存版)

- 在留カードの真偽
- 現在の在留資格の活動内容
- 就労制限の有無
- 在留期限
- 資格外活動許可の有無
- 過去の不許可歴
- 学歴・職歴と職務内容の一致
- 週28時間の制限
- 給与額が基準を満たしているか
- 在留資格の活動内容に合致した契約内容か
7. 北九州の企業が特に注意すべきポイント
北九州では下記の業界が多く、仕事内容が広くなりがちです。
- 製造業
- 介護
- 外食
- 物流
業務が多岐にわたる職種ほど、「本来の在留資格で認められない業務をさせてしまう」というミスが起こりやすく、更新不許可の典型例です。
◆ よくあるズレ(不許可例)
- 職務:機械オペレーター
→ 在留資格:技人国(専門性なしで不一致) - 職務:厨房補助
→ 在留資格:技人国(調理業務は不可)
8. 北九州でよくある“実務トラブル”
- 在留期限が切れかけている
- 更新の準備が遅れ、不許可になる
- 実務と申請した職務内容が違う
- 勤務実績の証明が不足
- 給与額が低く審査でマイナス
特に更新時は、「企業の管理体制」も審査対象になる点を理解しておくことが重要です。
9. 初めて雇う企業が“絶対にやってはいけない”NG行為
- 在留資格で認められていない業務を任せる
- 在留期限を管理しない
- 留学生をフルタイムで働かせる
- 不明点を確認しないまま採用する
- 在留カードの確認を怠る
いずれも 入管法違反で企業名の公表リスク があるため注意が必要です。
10. まとめ
外国人採用は、①在留資格の確認 → ②仕事内容の整合性 → ③更新・変更の見通しの順で丁寧にチェックすることが成功への近道です。
北九州は外国人採用が全国的にも増えている地域ですが、一方で不許可・違反トラブルが非常に多い地域でもあります。
初めて採用する企業こそ、「適法性の確認」と「更新を見据えた体制づくり」が不可欠です。
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