はじめに|なぜ銀行相続で「相続人の調査」が最初なのか
銀行相続は、原則として次の流れで進みます。
- 相続人の確定(戸籍の収集)
- 銀行口座の調査(相続財産の把握)
- 相続放棄の有無の確認
- 遺産分割協議
- 銀行へ相続手続きの申出
- 必要書類の提出・審査
- 口座解約・払戻し
この中で最初に必ず行うのが「相続人の調査」です。
なぜなら、誰が相続人なのかが確定しなければ、銀行は一切手続きを進めてくれないからです。
相続人の調査とは何をすること?
相続人の調査とは、簡単に言うと
法律上、誰が相続人になるのかを戸籍で証明する作業
です。
銀行は「自己申告」ではなく、戸籍謄本による客観的な証明を求めます。
なぜ銀行は戸籍を厳しく確認するのか
銀行が相続人調査を厳格に行う理由は以下の通りです。
- 相続人の漏れを防ぐため
- 後から「自分も相続人だ」と主張されるリスクを避けるため
- 誤った払戻しによる銀行側の責任回避
そのため銀行では、
- 出生から死亡まで連続した戸籍
- 相続人全員分の戸籍
が原則として必要になります。
戸籍は「どこからどこまで」集める?
基本ルール
被相続人の出生から死亡まで
これが銀行相続における絶対条件です。
具体的には
- 出生時の戸籍
- 婚姻・転籍・分籍などで作られたすべての戸籍
- 最終の除籍謄本(死亡記載あり)
※ 途中が1通でも欠けると「相続人が確定できない」=銀行手続きストップとなります。
よくある戸籍収集のつまずきポイント
① 本籍地が何度も変わっている
転籍が多い方ほど、戸籍は複数の市区町村にまたがります。
② 昔の戸籍(改正原戸籍)が必要
昭和・平成初期の相続では改正原戸籍が必須になるケースが非常に多いです。
- 明治31年改正
- 大正4年改正
- 昭和23年改正
- 平成6年改正
現在では4種類ほど改正原戸籍が存在します。
③ 銀行ごとに求める範囲が微妙に違う
- 「除籍だけでOK」という銀行
- 「必ず出生から」とする銀行
- 「16歳以降」でよいとする銀行
自己判断で省略すると再提出になりがちです。
相続人の範囲は戸籍でどう分かる?
戸籍を追っていくことで、次の点が明確になります。
- 配偶者の有無
- 子の有無(認知・養子含む)
- 代襲相続の有無
- 兄弟姉妹相続かどうか
銀行は戸籍に記載されている事実のみをもとに判断します。
法定相続情報一覧図は使える?
結論から言うと、多くの銀行で利用可能です。
法定相続情報一覧図のメリット
- 戸籍一式の代わりに提出できる
- 複数銀行で使い回せる
- 窓口での確認が圧倒的に早い
銀行相続が複数行ある場合は、最初から作成しておく方が圧倒的に楽です。
相続人調査を間違えるとどうなる?
- 銀行から追加提出を求められる
- 手続きが1〜2か月単位で遅れる
- 他の相続人との関係が悪化する
- 相続放棄期限(3か月)を過ぎるリスク
「最初の戸籍収集」が、相続全体のスピードを決めます。
銀行相続に慣れていない方ほど注意が必要
相続人の調査は、
- 法律知識
- 戸籍の読み取り
- 銀行ごとの実務対応
が複雑に絡みます。
「自分でできそう」と思って始めても、途中で行き詰まる方は非常に多いです。
もし相続放棄をしようと思っていても期限内に終わらなければ相続放棄ができない可能性も出てきます。
まとめ|相続人の調査は銀行相続の“土台”
- 銀行相続は相続人の確定から始まる
- 戸籍は出生から死亡まで
- 1通でも漏れると手続きは進まない
- 法定相続情報一覧図の活用で大幅に効率化できる
この手順①を正確に行うことで、その後の銀行相続は驚くほどスムーズになります。
銀行の相続手続きは銀行相続専門の行政書士にお任せ
銀行相続では、戸籍の集め方ひとつで手続き全体のスピードが大きく変わります。
「自分で進めてみたが、途中で分からなくなった」
「銀行から何度も追加書類を求められている」
このような場合は、銀行相続を専門に扱う行政書士へ一度相談することで、全体の流れが整理できるケースも少なくありません。
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