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大切な親に不幸ごとがあり、亡くなった方の遺産の内容について調べようとしているあなた。
『遺産の調査って何をしたらいいのかわからない。』
『遺産の評価額がわからない。』
『遺産の調べ方が知りたい。』
相続は突然のことで普段関わることがほとんどないので、いざ自分で手続きをしようとしても何から手をつけたらいいのか分からず悩みますよね。
親族の相続手続きを経験した私も、当初は何から手をつけたらいいのかわからず戸惑いました。
最初は法律用語だったり、どうしてその書類が必要なのかわからずにいました。
今回は親族の相続手続きを経験し、現在相続専門の行政書士として活動している私が、『絶対にわかる相続財産の評価と確定手続き』についてお届けします。
本記事でご紹介する相続財産の評価と確定手続きを知ってもらえれば、遺産の調査を簡単に進められます。
逆に今回ご紹介する相続財産の評価と確定手続きを知らなければ、ずっと悩んだままで必要以上に負担が掛かるかも…
誰でもわかるように簡単に紹介しておりますので最後まで読んでみてくださいね。
相続財産の評価と確定
親が亡くなったことによる相続手続きを進めるには、①相続人の範囲 ②相続財産の範囲と評価を確定させる必要があります。(基礎調査といいます)
これは相続人が行う場合でも士業である専門家が行うにしても必ず必要となります。
この2つを確定させないことには相続手続きは進める事ができませんので、最初にこの手続きを行っていきましょう。
前回は【相続人の範囲】を解説していきました。
相続人の範囲の決め方を知りたい方は、【【相続手続き】下関市を例にわかりやすく解説 ①相続人の範囲の決め方】をご覧ください。
今回は【②相続財産の範囲と評価の確定手続き】を解説していきます。
相続財産って何がある?
まず初めに相続財産で思い付くものは何があるでしょうか?
現金・預貯金や有価証券(株式)等の金融資産、それから家屋や土地等の不動産、車や時計、宝石等の動産があります。
その中でも預貯金については銀行の口座保有率が97.6パーセントとほぼ全員が持っている財産となりますので今回はこちらをメインで解説していきます。(因みに証券会社もほぼ同じ流れです。)
また今回は普段仕事で窓口へ行けない、お忙しい人の為に自分のペースで進められる郵送での手続きを紹介します。
銀行口座の評価手続きの手順
①口座情報がわかるものを探す
まず初めに行うこととして被相続人の相続財産に預貯金があることを想定してどこの金融機関に口座を開設しているのかを調べなくてはいけません。
お財布の中や、棚の中など思い当たるところを探してみましょう。
銀行や保険会社から郵送物なども届いている可能性もあります。
また複数口座をお持ちの方は自分の口座から違う口座に振込みなどしていることも考えられますので、1つの口座が見つかれば、振込みをした形跡がないか通帳の履歴を見てみましょう。
保険に加入しているのに現在手元にある通帳に履歴がない場合は、他の口座を開設している可能性があります。
もし何も見つからない場合は地道な作業になるのですが、最後の住所地の近隣の銀行へ片っ端から問い合わせてみると見つかることもあります。
②銀行の支店に問い合わせる
見つかった通帳やキャッシュカードを頼りにその銀行の支店(わからなければ最寄りの支店に問い合わせしてみましょう)に電話で相続手続きをしたい旨を伝えましょう。(見つからなくても被相続人の氏名と生年月日、住所を伝えれば調べてくれます。)
各銀行に問い合わせをしますが、同じ銀行であれば複数の支店の口座があっても、名寄せと言ってまとめて手続きをしてくれるところが多いです。
ここでは被相続人の預貯金がどのくらいあるのか確認する為に残高証明書の請求と取引履歴推移表の請求をお願いしましょう。(通帳で7年分の取引履歴が確認できない場合に取引履歴推移表で確認できます。)
なぜ7年分なのかというと、生前贈与加算が7年前まで対象だからです。(2024年から7年に改正)
残高証明書と取引履歴推移表は相続人であれば誰でも単独で請求可能です。
ただし、ここの注意点は銀行へ被相続人が死亡した事を伝えると銀行は口座の他人からの不正引き出しがないように入出金を直ちに停止します。これを口座の凍結といいます。
口座が凍結されると、例えば今まで被相続人の口座から家賃を振替をしていた場合には、取引が停止しているため口座凍結により振替が行われなくなり、滞納や未納となってしまいます。
こういった事を防ぐ為に事前に振替先を変更しておくなどの措置を取ってから銀行に問い合わせるようにしましょう。
③必要書類の準備をする
必要書類の準備
残高証明書の請求書類(依頼書)が届いたら、必要事項を記入します。
基本的に銀行から送付された依頼書の見本を見ながら記入すれば作成できます。
請求者は相続人の方の氏名と住所を記入し、印鑑登録をしている実印で押印します。
銀行の届け出印ではないので注意しましょう。
因みに残高証明書の請求日は、相続税の評価が被相続人が亡くなった日を基準とするので、被相続人が亡くなった日としておきましょう。
また取引推移表の依頼書にも記入しましょう。過去10年分まで請求できます。
具体的な詳細は下記の通りです。
今回は山口銀行FG(北九州銀行)の見本になります。(山口銀行から交付されるものと同一です。)
【残高証明書依頼書】
【取引推移表依頼書】
残高証明書の依頼書と一緒に以下の公的書類を準備します。(※相続人の調査で取得したもので構いません)
【必要公的書類】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等(除籍謄本・改正原戸籍)
・相続人の戸籍謄本等(全部事項証明書)
・相続人の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
・相続人の公的証明書の写し(運転免許証、マイナンバーカード等)
※戸籍謄本等は法定相続情報一覧図で代用可
④必要書類を銀行へ郵送する
ステップ③で準備した必要公的書類4点と残高証明書依頼書と取引履歴推移表の請求書(依頼書)合計6点を銀行へ郵送します。
郵送する封筒は請求書類に同封されている銀行所定の封筒があると思いますのでそちらに書類を入れて郵送しましょう。
【郵送する書類6点】
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等(除籍謄本・改正原戸籍)
・相続人の戸籍謄本等(全部事項証明書)
・相続人の印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
・相続人の公的証明書の写し(運転免許証、マイナンバーカード等)
・残高証明書依頼書
・取引履歴推移表依頼書
⑤残高証明書が郵送で届く
1〜2週間程で残高証明書が届きます。複数の各銀行口座を保有している場合は、①〜⑤を繰り返し行っていきます。
そして預貯金の評価額は、残高証明書に記載してある金額がそのまま相続財産の評価額となります。
⑥財産目録を作成する
財産目録とは、故人の相続財産の内容をまとめた一覧表になります。
財産目録を作成する目的は、今までの調査した財産の整理とこの後行う遺産分割協議を円滑に進めるために作成します。
作成は義務ではありませんが、一目で相続財産把握できるので作成をおすすめします。
作成手順はまず残高証明書に記載されている金融機関名・支店・科目(普通口座や定期預金など)・口座番号・金額、そして最後に合計金額を記載して作成します。
他の財産があれば一緒に記載していきましょう。
不動産であれば登記簿謄本(登記事項証明書)に記載している通りに記載していきます。
気を付けないといけないのは、ここでの金額や数量(口)は、相続税を申告するため金額・数量であり、相続が開始した日(被相続人が亡くなった日)のものだということです。
現在の実際の残高(時価)とは異なりますので注意しましょう。
どうして相続が開始した日なのかというと、相続財産の具体的な計算は被相続人が死亡した日を基準で計算するからです。
書式は特に決まっていないので、オリジナルのものでも構いません。
よく分からない方は私の作成した書式を参考にして作成してみましょう。
財産目録の作成が終われば財産の確定は以上で完了です。
【財産目録】
まとめ
今回は、銀行の預貯金口座の評価と確定について解説しました。
預貯金の評価額は不動産のように計算する必要はなく残高証明書に記載してある金額がそのまま相続財産の評価額になるということでした。
ポイントは指定された書類をきちんと準備する事です。
当たり前のことだと思われるでしょうが、銀行も普段の窓口業務と違うので相続人の確認をするために正確な情報を知ろうとしています。
その情報源である書類を準備してあげる事でスムーズに手続きが進みます。
自分で行うとコストは抑えられますが、手間が掛かったり手続きも煩雑で膨大な時間がかかります。
この後の手続きは遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成するという流れになります。
遺産分割協議について知りたい方は、【遺産分割協議の手続きの流れ 揉めないポイント】をご覧ください。
当事務所では残高証明書など相続財産の調査をサポートをしております。
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