銀行口座の調査と相続財産の把握方法|預金がどこにあるかわからない場合の対処法

目次

はじめに|預金がどこにあるかわからない場合の対処法

銀行相続は、原則として次の流れで進みます。

  1. 相続人の確定(戸籍の収集)
  2. 銀行口座の調査(相続財産の把握)
  3. 相続放棄の有無の確認
  4. 遺産分割協議
  5. 銀行へ相続手続きの申出
  6. 必要書類の提出・審査
  7. 口座解約・払戻し

相続手続きを進めるうえで、必ず行うべきことの一つが、②銀行口座の調査と相続財産の把握です。

「どこの銀行に預金があるのかわからない」
「通帳が見当たらない」

このような状態のまま相続を進めてしまうと、後になって預金が見つかり、手続きをやり直すことになるケースも少なくありません。

本記事では、銀行相続の流れの中でも②銀行口座の調査・相続財産の把握について、初心者の方にも分かりやすく解説します。

なぜ銀行口座の調査が必要なのか

相続は「財産の全体像」を把握するところから始まる

相続手続きは、相続人の確定 → 相続財産の把握 → その後の判断・手続きという順序で進みます。

銀行預金は、多くの方にとって最も身近で、かつ金額が大きくなりやすい相続財産です。

そのため、どの銀行に、いくら預金があるのかを把握しないまま次の手続きへ進むことはできません。

預金を把握せずに進めると起きるトラブル

銀行口座の調査を十分に行わずに相続を進めると、次のような問題が起こりやすくなります。

  • 遺産分割協議をやり直すことになる
  • 相続放棄をすべきかどうか判断できない
  • 後から別の口座が見つかり、手続きが振り出しに戻る

銀行口座の調査は、すべての相続手続きの土台となる重要な工程です。

相続財産に含まれる「銀行預金」の範囲

普通預金・定期預金・貯蓄預金

相続財産として扱われる銀行預金には、次のようなものがあります。

  • 普通預金
  • 定期預金
  • 貯蓄預金
  • 当座預金(事業者の場合)

名義が被相続人である以上、どの種類の預金であっても相続の対象となります。

休眠口座・古い口座も相続対象

長年使われていない口座や、本人も忘れていた口座であっても、名義が被相続人であれば相続財産です。

「残高が少ないから関係ない」と思い込まず、すべての口座を調査対象に含めることが大切です。

ゆうちょ銀行・信用金庫も忘れやすい

都市銀行だけでなく、

  • ゆうちょ銀行
  • 信用金庫
  • 地方銀行

なども見落とされやすいポイントです。

特に年配の方の場合、複数の金融機関を使い分けているケースも多くあります。

銀行口座を調査する具体的な方法

通帳・キャッシュカードがある場合

通帳やキャッシュカードが見つかっている場合は、調査は比較的スムーズです。

  • 支店名
  • 口座番号
  • 取引履歴

これらの情報から、銀行に相続の連絡を行い、残高や手続きを進めることができます。

また、通帳の取引履歴から他の銀行口座の存在が判明することもあります。

通帳がない場合の調査方法

通帳が見当たらない場合でも、次のような資料から手がかりを探すことができます。

  • 銀行からの郵便物
  • 確定申告書や年金関係の書類
  • 公共料金・保険料の引落し口座
  • スマートフォンやパソコンのネットバンキング履歴

被相続人の生活の痕跡をたどることが、口座発見のヒントになります。

銀行への「口座照会」という手続き

どうしても口座が特定できない場合、銀行に対して口座照会を依頼する方法があります。

これは、被相続人名義の口座が存在するかどうかを銀行側に調べてもらう手続きです。

ただし、すべての銀行で対応しているわけではなく、必要書類や対応可否は金融機関ごとに異なります。

銀行に口座照会を依頼する際の注意点

原則、相続人でなければ照会できない

口座照会は、原則として相続人であることが確認できる人しか行えません。

第三者が調査することはできないため、事前に相続人関係を明確にしておく必要があります。

戸籍が揃っていないと断られることがある

銀行では、相続人であることを確認するために、戸籍謄本等の提出を求められます。

戸籍が途中で不足している場合、照会自体を受け付けてもらえないケースもあります。

この点は、①相続人の調査(戸籍収集)と密接に関係しています。

銀行によっては「照会不可」のケースも

金融機関によっては、

  • 口座番号が分からないと照会できない
  • 支店が特定できないと対応できない

といった制限がある場合もあります。事前に銀行へ確認することが重要です。

相続財産一覧表を作成する重要性

遺産分割協議・銀行手続きで必須

銀行口座の調査が終わったら、次に行うべきなのが相続財産一覧表(財産目録)の作成です。

一覧表を作成することで、

  • 相続人全員が同じ情報を共有できる
  • 遺産分割協議がスムーズに進む
  • 銀行手続きの漏れを防げる

といったメリットがあります。

預金残高は「死亡日時点」で把握する

銀行預金の相続では、被相続人が亡くなった日時点の残高が基準になります。

残高証明書を取得する際も、この点を意識して依頼する必要があります。

一覧表を作ることで手続きが一気に楽になる

相続財産を「見える化」することで、次のステップである相続放棄の判断遺産分割協議が格段に進めやすくなります。

銀行口座の調査でつまずきやすいポイント

複数銀行にまたがっているケース

複数の銀行口座がある場合、それぞれに個別の手続きが必要になります。

一つ終わったと思っても、別の銀行が残っていると相続は完了しません。

相続人が把握していない口座が出てくる

「そんな口座は知らなかった」というケースは珍しくありません。

このため、最初の調査段階でできる限り網羅的に確認することが重要です。

時間が経つほど調査が難しくなる理由

相続発生から時間が経つと、

  • 書類が処分されてしまう
  • 記憶が曖昧になる

といった理由で、調査の難易度が上がります。早めに着手することが、結果的に負担を減らします。

次に進む前に確認すべきこと

相続放棄を検討している場合の注意

銀行口座の調査結果によっては、相続放棄を検討するケースもあります。

相続放棄には期限があるため、財産調査を終えたら早めに判断する必要があります。

遺産分割に進む前にやるべき準備

相続財産の全体像が把握できてはじめて、遺産分割協議に進むことができます。

この段階を飛ばさず、丁寧に進めることが重要です。

まとめ|銀行口座の調査は相続の土台

銀行口座の調査と相続財産の把握は、相続手続き全体の土台となる工程です。

  • 調査を怠ると手続きは必ず止まる
  • わからないまま進めないことが重要
  • 早めの着手がトラブル回避につながる

次のステップである相続放棄の判断遺産分割協議へ進むためにも、まずはこの工程を確実に行い、残高証明書を取得しましょう。

銀行口座の調査や相続財産の把握に不安がある場合は、専門家へ相談することで、状況整理から次の手続きまでスムーズに進めることができます。

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