はじめに|「今は住めているから大丈夫」は本当に安全か?
親が亡くなったあと、
- 長男がそのまま実家に住み続けている
- 同居していた子が住み続けている
- 他の相続人は遠方に住んでいる
こうしたケースは非常に多くあります。
そしてよくあるのが、「今は特に困っていないから、名義変更はそのままでいい」という判断です。
しかし、実務上は“住み続けている状態”こそが、最もトラブルを生みやすい状況です。
この記事では、
- 自宅に住み続ける場合の法的リスク
- 相続登記を放置する危険性
- 将来揉めやすい場面
- 今できる現実的な対策
を整理します。
リスク①|名義が亡くなったままだと法律上は「共有状態」
親名義のまま相続手続きをしていない場合、法律上は相続人全員の共有状態になっています。(民法898条)
つまり、
- 住んでいる人だけの家ではない
- 他の相続人も持分を持っている
という状態です。
住み続けているからといって、所有権を取得したわけではありません。
リスク②|相続登記義務違反の可能性
2024年4月から相続登記は義務化されました。
相続を知った日から3年以内に登記しなければ、過料の対象となる可能性があります。
「住んでいるから問題ない」ではなく、法律上の義務は発生しています。
リスク③|他の相続人からの請求
共有状態である以上、他の相続人は
- 家賃相当額の請求
- 持分の買取請求
- 共有物分割請求
をすることができます。
特に、
- 関係性が悪化した場合
- 相続人の一人が亡くなり次世代に相続された場合
状況は一気に複雑化します。
リスク④|売却や担保設定ができない
名義が整っていなければ、
- 売却
- 抵当権設定
- 建替えローン
ができません。
いざというときに、「売れない」「貸せない」「借りられない」という問題が発生します。
リスク⑤|次の相続でさらに複雑化
最も危険なのは、相続が連鎖することです。
例えば、
父が亡くなり未登記
↓
母が亡くなる
↓
兄弟の一人も亡くなる
こうなると、
- 相続人が増える
- 持分が細分化する
- 調整が困難になる
いわゆる「数次相続」です。実務では、これが最大の混乱要因になります。
「住んでいる人が相続すればいい」は簡単ではない
よくある誤解は、「住んでいる人がそのまま相続すればいい」という考え方です。
しかし、
- 他の相続人の合意
- 代償金の支払い
- 不動産評価の算定
が必要になります。
特に評価額を巡って対立するケースは多いです。
揉めないためにできること
① 早期に名義を整理する
まずは、
- 相続人の確定
- 財産調査
- 分割協議
を行い、登記を完了させる。
これが基本です。
② 代償分割を検討する
住む人が単独取得し、他の相続人へ金銭で清算する方法です。
共有状態を避けられます。
③ 使用貸借を明確にする
すぐに分割できない場合、
- 無償で住んでいるのか
- 将来どうするのか
を書面で整理するだけでもトラブル防止になります。
放置が一番高くつく
相続は、早く動けば比較的シンプルです。
しかし、
- 相続人が増える
- 感情が悪化する
- 不動産価格が変動する
と、調整コストが跳ね上がります。
住み続けていることは問題ではありません。
問題なのは、権利関係を整理しないまま放置することです。
まとめ|「今は困っていない」が最大のリスク
亡くなった親の自宅に住み続ける場合、
- 共有状態のまま
- 登記未了
- 将来の紛争種
というリスクを抱えています。
今は平穏でも、将来の相続で大きな問題になることがあります。
▶ 実家の相続でお悩みの方へ
- 名義変更をしていない
- 兄弟間で話が進まない
- 将来揉めないか不安
行政書士74事務所では、
- 相続人調査
- 相続不動産調査
- 不動産を含む分割設計
- 司法書士との登記連携
までサポートしています。
まずは現在の状況をお聞かせください。


