はじめに|相続で最初に揉めやすいのは「お金の話」
相続が始まると、まず発生するのが葬儀費用です。
しかし、
- 「誰が払うのか」
- 「立て替えた分は戻るのか」
- 「どこまでが葬儀費用なのか」
について明確に決めないまま進むと、後々トラブルの原因になります。
実務上、葬儀費用は相続開始直後に発生するため、感情が不安定な中で判断されがちです。
この記事では、
- 法律上の考え方
- 実務で揉めない立替方法
- 精算のタイミング
- 領収書の残し方
を整理します。
葬儀費用は「誰が払う」のが原則?
実は、民法には
「葬儀費用は誰が負担する」と明確に定めた条文はありません。
一般的には、
- 喪主がいったん支払う
- 相続人が共同で負担する
という実務が多いです。
最高裁判例でも、葬儀費用は原則として相続財産から当然に控除されるものではないとする考え方が示されています。
つまり、自動的に遺産から差し引かれるわけではないという点が重要です。
実務で多いパターン
① 長男(喪主)が全額立替える
もっとも多いケースです。
問題は、その後です。
- きちんと精算するのか
- 何も決めずにそのままにするのか
曖昧にすると、後で不満が出ます。
② 相続財産からそのまま支払う
亡くなった方の預金から引き出して支払うケースです。
ただし注意点があります。
銀行口座は原則、死亡後は凍結されます。
勝手に引き出すと、
- 使途を巡って疑念を持たれる
- 単純承認とみなされるリスク(借金がある場合)
が発生する可能性があります。
葬儀費用は遺産から差し引いていいのか?
実務では、遺産分割協議で合意があれば控除可能とされています。
つまり、
- 相続人全員が合意すれば
- 立替分を相続財産から精算できる
ということです。
逆に言えば、合意がなければ当然には差し引けません。
揉めないための立替精算の決め方
① まず「総額」を明確にする
葬儀費用には、
- 葬儀社費用
- 火葬費用
- 会食費
- 返礼品
- 宗教者への謝礼
などが含まれます。
何が対象かを明確にせずに精算すると揉めます。
② 領収書は必ず保存する
揉める原因の多くは、
- 現金払い
- 領収書がない
- 金額が曖昧
です。
原則として、
- すべての支払いに領収書を残す
- 立替者名義で保管する
- 写しを共有する
これが重要です。
③ 相続人全員に説明する
立替えた方が、「これだけかかりました」と後から言うのではなく、
- 早めに金額を共有
- 精算方法を提案
- 合意を取る
という流れが理想です。
立替精算の具体的な方法
方法① 遺産分割協議書に記載する
例:「葬儀費用○○円は、長男○○が立替えているため、相続財産から控除したうえで分割する。」
このように明記することで、後の紛争を防げます。
方法② 相続人間で均等負担
遺産とは切り離し、相続人全員で均等に負担する方法です。
遺産が少ない場合や、預金がすぐに動かせない場合に有効です。
やってはいけない対応
- 領収書を捨てる
- 相続財産から無断で引き出す
- 後からまとめて請求する
- 感情論で押し切る
葬儀直後は感情が動いているため、「言い出しにくい」ことが多いですが、曖昧にすると後で大きくなります。
借金がある場合の注意点
もし負債がある場合、
相続放棄を検討する可能性があります。
その場合、
葬儀費用の支払いが「単純承認」とみなされないか注意が必要です。
一般的に、社会通念上相当な範囲の葬儀費用の支出は直ちに単純承認とはなりません。
ただし、高額すぎる支出には注意が必要です。
まとめ|葬儀費用は“最初に設計する”
葬儀費用は、
- 相続開始直後に発生する
- 感情が絡みやすい
- 法律に明確な規定がない
という特徴があります。
だからこそ、
- 総額の明確化
- 領収書の保存
- 早期共有
- 協議書への明記
が重要です。
▶ 葬儀費用の精算でお悩みの方へ
- 立替分をどう精算するか決まらない
- 遺産から差し引いてよいのか分からない
- 相続人間で話がまとまらない
こうしたケースでは、書類の整理と説明の順番を整えることで解決することが多いです。
行政書士74事務所では、
- 相続財産の整理
- 協議書作成
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までサポートしています。
まずは状況をお聞かせください。


