はじめに
相続手続きがスムーズに進む人と、時間がかかってしまう人にはどのような違いがあるのでしょうか。
その答えをこの記事にまとめました。
まだ相続に直面していない方も、将来困らないために知識を持っておくことが大切です。ぜひ読んでみてください。
また、すでに相続が発生し手続きに悩んでいる方も、相続の基本や進め方を理解しておくことで、手続きをスムーズに進めることができます。
相続を円滑に進めるためには、手続きの全体像を把握しておくことが非常に効果的です。それでは、まず相続の基本知識について解説していきます。
相続手続きの基本知識
相続手続きの流れ
亡くなった方の法定相続人の確定をします。
亡くなった方のプラスの財産・マイナスの財産含め全ての相続財産の調査をします。
マイナスの財産が多い場合には相続放棄も検討します。
この相続放棄の判断は3ヶ月以内に行い裁判所に申述する必要があります。
相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の承継先等の内容を決定します。
トラブル防止の為に遺産分割協議書(書面)にまとめます。
合意した遺産分割協議の内容をもとに預貯金や不動産、相続税の申告などの手続きを行います。
法定相続人とは?(相続人の調査)
法定相続人は配偶者相続人と血族相続人に分かれます。
亡くなった方の配偶者は常に相続人となります。
血族相続人は順位が決められており、先順位の相続人がいると後順位相続人は相続人にはなりません。
第一順位:子 (子がいない場合は孫)
第二順位:両親(直系尊属)
第三順位:兄弟姉妹

法定相続人の相続割合
法定相続人の相続割合は法定相続人の構成や人数で変わってきます。
| 配偶者 | 子(孫) | 両親 | 兄弟姉妹 | |
| 配偶者 | 全て | 2分の1 | 3分の2 | 4分の3 |
| 第一順位:子 | 2分の1 | 全て | 全て | 全て |
| 第二順位:両親 | 3分の1 | - | 全て | 全て |
| 第三順位:兄弟姉妹 | 4分の1 | - | - | 全て |
スムーズな相続手続きのポイント
相続の基本知識をご覧いただいたところで、続いてはスムーズな相続手続きのポイントを解説します。
遺言書の有無と重要性
先にお伝えした通り遺産の承継をするには遺産分割協議が必要です。
ただし、亡くなった方が遺言書を作成している場合には、亡くなった方の意思を尊重して基本的には遺言書の内容の通りに相続手続きを行います。
遺言書での手続きは遺産分割協議による手続きに比べて手続きに必要な書類が少なくて済んだり、相続人の調査や財産の調査をする手間がないので相続手続きをスムーズに進めるにはとても重要な書類となります。
相続手続きをする際には初めに自宅や法務局、公証役場に遺言書がないか探すようにしましょう。
また遺言書の種類によっては裁判所で”検認”という手続きが必要となり、1〜3ヶ月かかりますので早めに手続きをしましょう。
検認については以下の記事をご覧ください。
遺産分割協議の円滑な進め方
①コミュニケーションを取る
遺産分割協議を円滑に進めるためには相続人間のコミュニケーションが重要です。
自分はどうしたいのか意見を伝えるのはもちろんですが、どうしてそのようにしたいのかという理由も伝えることで相手に自分の想いが伝わりやすくなります。
②平等でなはく公平な分配を行う
よく相続財産を等分すれば平等な相続となると言われる方がおられますが、相続において平等な相続はあり得ません。
なぜなら、相続人にはこれまでの人生の積み重ねがあるからです。
例えば、相続人が兄弟で兄はなんとも思っていなくても、弟は昔から兄のお下がりばかりであったりとか、兄は大学に進学して学費の援助や仕送りをしてもらっており、弟は全て自分で稼いだお金で過ごしてきたなど、これまで歩んできた人生上の理由によって弟の感じていること思っていることが違うからです。
難しいところではありますが、相続人の想いと照らし合わせて双方が納得いく相続割合を話し合うことが重要です。
③話し合った内容を文書化しておく
遺産分割で話し合った内容は議事録などにして記録をとっておくことにより、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
最終的には遺産分割協議書を作成して相続人全員の署名捺印をすることにより相続人や第三者へ亡くなった方の権利が誰に相続するのかが明確になりますので、必ず文書化するようにしましょう。
④譲り合いの精神で行う
遺産分割で最も重要なのは譲り合いの精神です。
自分の想いを大切にしてもらいたいですが、誰かが引かないといけないことも時にはあります。
結局誰かが不満を持ってしまうのかと思われた方もおられると思いますが、日頃から家族との良好な関係を築きお互いのことを思い合える関係にしておくというのが重要です。
遺産分割協議をする前にここでお伝えしている5つの円滑の進め方を相続人で共有し、譲り合いの精神で遺産分割協議を進めることできっと納得いく遺産分割協議になることでしょう。
⑤専門家の活用
相続で一番トラブルに発展しやすいのが遺産分割協議です。
自分の言い分や態度が悪いと他の相続人としてもいいものではありません。
法定相続人全員で行うのが遺産分割協議の基本ですが、専門家に手続きをお願いすることで通常相続人のみで行うよりもクッション材としての役割があるのでトラブルになる確率も軽減できます。
ただし弁護士さんにお願いすると紛争のイメージが強く相手も弁護士さんを立てることが考えられトラブルになる可能性があるので弁護士さん以外の相続に精通する専門家にお願いするのがいいでしょう。
また専門家が手続きをすることによって一般の方では知らない相続制度などのアドバイスもできますので将来を見据えた最善の相続手続きをすることが可能です。
各専門家ができること
相続に携われる専門家はたくさんいます。
ですがこの各専門家の違いや何ができるのか理解している方はあまり少ないと存じます。
専門家が何ができるのかできないのかを知っておくことで、相続手続きを上手に進めたり、相続手続きに掛かるコストを削減できますので確認しておきましょう。
| 弁護士 | 司法書士 | 税理士 | 行政書士 | |
| 相続トラブル | ◯ | × | × | × |
| 相続人の調査 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 相続財産の調査 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 遺産分割協議書の作成 | ◯ | △ | △ | ◯ |
| 銀行の手続き | ◯ | ◯ | △ | ◯ |
| 不動産の登記 | △ | ◯ | × | × |
| 自動車の名義変更 | △ | × | × | ◯ |
| 農地転用手続き | △ | × | × | ◯ |
| 相続税の申告 | △ | × | ◯ | × |
相続財産に何があるのか、保有数が多いものを考えて選択すると良い
期限や手続きの注意点
最初に考えなくてはいけないのは相続財産を相続するかそれとも相続放棄をするかです。
この期間を熟慮期間といい3ヶ月以内に決断しなければいけません。
3ヶ月を超えた場合や相続財産を勝手に処分してしまうと承継するとみなされて相続放棄ができなくなるので注意が必要です。
この後にしないといけないのは準確定申告です。
亡くなった方の所得税の申告を亡くなってから4ヶ月以内に税務署に申告する必要があります。
その後、相続財産の評価額が基礎控除額を超えている場合は、亡くなってから10ヶ月以内に相続税の申告をする必要があります。
また不動産の登記(相続登記)は亡くなってから3年以内にしないと10万円以下の過料とな恐れがありますので早急の手続き完了をおすすめします。
事前に必要な書類の整理方法
相続手続きをするにはかなりの労力や時間の負担がかかります。
そのほとんどの負担が手続きに必要な書類の収集をすることと言っても過言ではありません。
そしてこの書類の収集は当たり前ですが遺された相続人がすることになります。
御家族といえど亡くなった方の全てを知っているわけではないと思いますので、元気なうちから相続手続きの準備をしておく(してもらう)ことが大切です。
遺言書の作成は相続手続きとしてはとても効果のあることですが、そこまで手が回らないという方は、自分の個人情報(戸籍謄本や住民票等)や財産の情報(預貯金の口座や登記権利書等)を親族に分かるようにまとめておくだけでも、調査の時間を軽減できるので、とても有効なものになります。
また、現在使用していない不要な財産を生前に処分しておくことも相続人の負担を軽減できる方法の1つです。
いつ何が起こるかわからない人生ですので、今できることを今のうちからしておきましょう!
まとめ
相続手続きをスムーズに進めるためには、相続人全員の協力が必要不可欠です。
1人でも非協力的であったりトラブルになってしまうと相続を終えることができず、長い時間をかけて身体的負担や経済的負担を負うことになりかねません。
そして、この相続手続きをよりスムーズに進めるためには、亡くなった方が生前に自分の相続について真剣に考え準備していたかということが大切なポイントになります。
また実際に何も準備をしていない家庭が相続トラブルになっているという裁判所の統計もありますので、元気なうちに御家族全員で準備・共有しておきましょう。
相続を考えるということはご家族を大切にしている証です。
相続が”争族”にならないように、今のうちから御家族とコミュニケーションを深めて、お互いに良い関係を構築していけるように日頃の感謝の気持ちをその都度毎に伝えるようにしておきましょう。
最後になりますが、この記事を相続人の皆様にご共有頂き相続手続きを進めていただけたら大変光栄です。
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