はじめに|「財産がほとんどないから、書類はいらない?」
相続が始まったものの、
- 預金が数十万円しかない
- 不動産はない
- 借金もない
という場合、
「遺産分割協議書って作らなくてもいいのでは?」
と考える方は少なくありません。
確かに、相続財産が多額でない場合、大がかりな手続きは不要に見えます。
しかし実務上は、
財産の額ではなく、“何をするか”によって必要かどうかが決まります。
この記事では、
- 少額相続でも協議書が必要になるケース
- 作らなくてもよいケース
- 後から困らないための判断基準
を整理します。
遺産分割協議書とは何か
遺産分割協議書とは、相続人全員で遺産の分け方を合意したことを証明する書面です。
民法第907条では、遺産分割は「共同相続人の協議」によると定められています。
つまり、
- 相続人が複数いる場合
- 法定相続分と異なる分け方をする場合
には、合意の証明が必要になります。
財産が少ない場合でも必要になるケース
① 相続人が複数いる場合
たとえ預金が10万円でも、相続人が3人いれば「誰がいくら受け取るか」を決める必要があります。
銀行は原則として、
- 相続人全員の同意
- 遺産分割協議書
を求めます。
少額だからといって、手続きが簡略化されるとは限りません。
② 銀行口座を解約する場合
銀行相続では、
- 法定相続分で分ける
- 代表者が受け取る
いずれにしても、合意の書面を求められるケースが多いです。
「財産が少ないから不要」ということはありません。
③ 不動産が1つでもある場合
評価額が低くても、
不動産の名義変更には遺産分割協議書が必要です。
不動産登記は金額ではなく、権利関係の明確化が目的だからです。
作らなくてもよい可能性があるケース
① 相続人が1人だけ
単独相続の場合、遺産分割は不要です。
この場合、協議書も不要です。
② 法定相続分どおりに分ける場合
銀行によっては、法定相続分で分ける場合、協議書なしで手続きできる場合があります。
ただし、
- 相続人全員の署名
- 印鑑証明
は必要になることが多いです。
「財産が少ないから書面はいらない」のリスク
少額相続で協議書を作らないと、後から次の問題が起こることがあります。
① 言った・言わない問題
「口頭で合意した」
という状態は、時間が経つと記憶があいまいになります。
将来、
- 別の財産が見つかった
- 税金の通知が届いた
ときに、紛争の火種になることがあります。
② 追加財産が見つかった場合
最初は「ほとんどない」と思っていても、
- 未請求の保険金
- 休眠口座
- 少額の株式
が後から見つかることがあります。
協議書がないと、改めて話し合いが必要になります。
③ 相続登記義務化との関係
不動産を放置すると、相続登記義務違反となる可能性があります。
「価値がないから」と放置しても、義務は免れません。
少額相続での現実的な判断基準
次の3つで判断すると分かりやすいです。
① 相続人は何人か?
複数いるなら、原則協議が必要です。
② 銀行・不動産手続きはあるか?
あるなら、協議書作成を前提に考える。
③ 将来トラブルの可能性はあるか?
関係性が良好でも、書面があるほうが安全です。
作る場合のポイント
少額相続の場合、
- 難しい法律文言は不要
- 分配内容を明確に記載
- 相続人全員が署名押印
これだけでも十分です。
むしろ、簡潔で分かりやすい書面の方が実務では有効です。
まとめ|金額ではなく“関係性”で考える
遺産分割協議書は、財産が多いから必要なのではありません。
- 相続人が複数いる
- 後から追加財産が出る可能性がある
- 将来の紛争を防ぎたい
このような場合には、少額でも作成しておく価値があります。
「たいした財産じゃないから」
という判断が、後で大きな問題に発展することもあります。
▶ 少額相続で迷っている方へ
- 財産が少ないが協議書が必要か分からない
- 銀行で書類を求められた
- 簡単な書面で済ませたい
行政書士74事務所では、
- 相続財産の整理
- 必要書類の判断
- 簡潔な遺産分割協議書作成
をサポートしています。
まずは現在の状況をお聞かせください。


