相続人に精神障害者がいる場合の相続手続き 成年後見制度を使った対応方法を解説 北九州・下関

相続の手続きを行う際、相続人の中に精神障害を持つ方(判断能力に制限のある方)がいる場合、手続きが少し複雑になります。

なぜなら、相続は「遺産分割協議」など、相続人全員の意思表示が必要な手続きが多く、判断能力に問題がある方の意思表示が無効になる可能性があるからです。

この記事では、法律の知識がない方でも理解できるように、「精神障害者がいる場合の相続手続きの流れ」と「具体的な対応方法」について丁寧に解説していきます。

目次

1. 相続手続きの基本

人が亡くなると、財産や借金などの「相続財産」は、配偶者や子どもなどの相続人が引き継ぐことになります。基本的な流れは以下の通りです。

■ 相続の基本的な流れ

  1. 相続人の調査(戸籍を取り寄せて誰が相続人か確定)
  2. 遺産の調査(財産や借金の確認)
  3. 相続方法の選択(単純承認・限定承認・相続放棄)
  4. 遺産分割協議(誰が何を相続するか話し合う)
  5. 各種名義変更・財産の分配

この中でも特に問題となるのが、④遺産分割協議です。

相続人が複数いる場合、全員の合意がなければ遺産を分けることができません

ここで、相続人の中に判断能力に制限がある人がいると、その人の合意が無効とされ、手続きが進められなくなってしまうのです。

2. 精神障害者が相続人にいる場合の問題点

精神障害そのものが問題なのではなく、「遺産分割に必要な意思判断ができるかどうか」が重要なポイントになります。

■ 判断能力がないとみなされるケース

  • 知的障害、精神障害、認知症などにより、自分の権利や利益を理解し判断することが難しい場合
  • 医師による診断書で「意思能力に乏しい」と判断された場合

このような場合、その相続人が行った遺産分割協議は「無効」となる可能性があり、後からトラブルや手続きのやり直しになるリスクがあります。

ただし、よくある事例で、ご家族や他の相続人が自身の判断で精神障害と決めつけてしまうことがあります。

そういったことがないように、判断が難しい場合は、専門家や医師と慎重に進めていく必要があります。

3. 家庭裁判所での「成年後見制度」とは?

このような場合に備えて法律では、本人の代わりに意思決定をサポートする「成年後見制度」が用意されています。

■ 成年後見制度とは?

本人(精神障害などにより判断能力が低下している人)の代わりに、法律行為を行う支援者を家庭裁判所が選ぶ制度です。

■ 後見人の種類

種類対象となる判断能力申立てが必要な機関
成年後見人ほぼ常に判断できない家庭裁判所
保佐人判断に援助が必要家庭裁判所
補助人軽度な援助が必要家庭裁判所

※精神障害で相続に関わる場合は「成年後見人」が選ばれることが多いです。

4. 手続きの具体的な流れ

精神障害者が共同相続人として含まれている場合の一般的な手順は以下の通りです。

■ 手順① 医師の診断書を取得する

相続人の一人が判断能力に問題があると感じたら、まずは医師に診断してもらい、診断書を取得します。

これが後の家庭裁判所への申立てに必要になります。

■ 手順② 家庭裁判所に「成年後見人選任申立て」を行う

必要書類をそろえて、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。

必要書類の例

  • 成年後見申立書
  • 医師の診断書
  • 財産目録
  • 住民票・戸籍謄本 など

申立てから後見人が選ばれるまで、1〜2か月程度かかります。

■ 手順③ 成年後見人が就任し、遺産分割協議に参加する

選ばれた後見人は、本人に代わって遺産分割協議に参加します。

ただし、後見人は「本人にとって公平であるか」を重視するため、不利益な分割案には同意できません

例えば、「本人は何もいらない」という分割は認められない可能性が高いです。

基本的には、法定相続分で遺産分割されることが多いです。

■ 手順④ 遺産分割協議書を作成し、相続手続きへ

全員の合意が取れたら、協議書を作成し、それに基づいて不動産や預貯金の名義変更などの相続手続きを行います。

5. 注意すべきポイントとトラブル事例

● トラブル例1 勝手に本人の印鑑を使って協議書に押印

→意思能力がないのに協議書を作成した場合、後から無効とされ、相続のやり直しになる可能性大です。

悪意があれば刑事事件になることもあります。

● トラブル例2 後見人が選ばれたが協議がまとまらない

→後見人は本人の利益を最優先に判断するため、他の相続人にとって都合の良い分割案は通りにくくなります

場合によっては家庭裁判所による「調停」や「審判」に進むこともあります。

● トラブル例3 申立てに時間がかかり、相続手続きが遅延

→後見人選任までに数か月かかることもあります。

葬儀費用や税金の申告期限が迫っている場合は、専門家と連携しながら進めるのが安全です。

6. まとめ 専門家のサポートも検討しよう

共同相続人の中に精神障害者がいる場合でも、正しく成年後見制度を利用すれば、相続手続きを円滑に進めることが可能です。

しかし、必要な手続きは多く、時間もかかるため、

  • 判断能力の有無の判断
  • 後見人選任の申立て
  • 協議の進行と合意形成

これらのプロセスを適切に行うためには、専門家に相談することが重要です。

無理に本人の代わりに署名・押印させるようなことは、後々大きなトラブルにつながるため絶対に避けましょう。

相続手続きは一度きりの大切な場面。

全員が納得できる形で、かつ法律的に正しい方法で進めていくために、今回の知識を役立ててくださいね。

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