【下関・北九州】相続手続きを自分で行うリスクとは？失敗を防ぐ基礎調査の重要性

2025年9月23日

はじめに　「相続手続きを自分でする」

相続が発生したとき、多くの方が「自分でできるのでは？」と考えます。銀行口座の解約や名義変更など、一見すると必要書類を揃えれば済むように見えるからです。

しかし、相続は民法・戸籍法・不動産登記法・税法など複数の法律や制度が絡み合う複雑な手続きです。正しい知識を持たずに進めると、後々大きなトラブルに発展することも少なくありません。

本記事では「相続手続きを自分でするリスク」について、初心者でも理解できるようわかりやすく解説します。

1. 相続手続きは本当に自分でできる？

相続手続き自体は、必ずしも専門家に依頼しなければならないものではありません。

必要書類を集め、各金融機関や法務局に提出すれば、自力で進めることも可能です。実際に少額の預金や、不動産がなく相続人が少数の場合は、本人だけで手続きを終えられるケースもあります。

しかし、次のような状況に当てはまる場合は注意が必要です。

相続人が複数いる
不動産がある
故人が複数の銀行や証券会社に口座を持っていた
相続人の中に連絡がつきにくい人がいる
相続税が発生する可能性がある

これらに該当すると、自力で手続きを進めることは現実的に難しくなります。

2. 自分で相続手続きを行うリスク

2-1. 書類の不備や記載ミスで手続きが進まない

銀行解約や不動産の名義変更では、戸籍謄本や印鑑証明書など多数の書類が必要です。
書類の取り寄せ漏れや記載不備があると、窓口で「やり直し」とされ、何度も足を運ぶことになりかねません。

2-2. 相続人調査の漏れによるトラブル

相続人は、戸籍を出生から死亡までさかのぼって調査しなければ確定できません。
たとえば、被相続人が再婚していた場合、前妻との間の子どもも相続人となります。これを見落として遺産分割を進めると、後から権利を主張され、無効になる危険があります。

2-2. 手続きの順序を誤るリスク

相続では、銀行預金の引き出しなど一部の手続きだけを先に行うと、借金発覚時に相続放棄できなくなるなど重大なトラブルにつながります。

そのため、まずは 相続人と財産の基礎調査を行い、3か月以内に相続するかどうか判断する準備 が必要です。

2-3. 遺産分割協議の不備

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。一部の相続人を抜いた協議は無効となり、トラブルの火種になります。

また、協議書の書き方を誤ると、不動産登記や銀行手続きで受理されず、やり直しが必要になることもあります。

2-4. 相続税の申告漏れ

相続財産が一定額を超えると、相続税の申告が必要です。

不動産評価や生命保険、贈与分の取り扱いなどは専門的な知識が必要で、素人判断で申告漏れをすると加算税や延滞税が課されるリスクがあります。

2-5. 手続きが期限内に終わらない

相続には期限が設けられているものがあります。

相続放棄：3か月以内
相続税申告：10か月以内
不動産相続登記：2024年4月から義務化、3年以内

自分で進めているうちに時間が過ぎてしまい、選択肢を失ってしまうケースも珍しくありません。

3. よくあるトラブル事例

事例1：相続人の一人を見落とした

父親が亡くなり、母と子ども2人で遺産分割を終えたつもりが、実は父に認知した子どもがいた。後から名乗り出られてトラブルになった。

事例2：不動産登記ができなかった

遺産分割協議書を自作したが、法務局で「記載が不十分」とされ却下。再度相続人全員から署名・押印を集め直す羽目になった。

事例3：相続税の申告漏れ

自宅土地の評価額を誤り、申告漏れが発覚。税務署から追徴課税を受け、余計な費用が発生した。

4. 専門家に相談するメリット

相続手続きは自分でできる部分もありますが、専門家に相談することで次のような安心感が得られます。

相続人の漏れがないか、戸籍を徹底的に調査してくれる
遺産分割協議書を法的に有効な形で作成できる
銀行・証券・不動産など複数の手続きをまとめて進められる
相続税の申告が必要かどうかを早い段階で判断できる
手続き期限を見逃さず、迅速に対応できる

専門家に依頼することは費用がかかりますが、後々のトラブルを防ぐ「保険」と考えると、結果的に安心で効率的です。また、無料相談を実施している事務所もありますので、まずはそちらで相続の基本を聞いてみるのもおすすめです。

5. 迅速な対応が重要な理由

相続手続きは放置すると状況が悪化します。

相続人が高齢化して判断能力が低下する
相続人が死亡してさらに相続人が増える（数次相続）
財産の価値が変動する
期限が過ぎて選択肢がなくなる

早めに動くことで「相続放棄」「遺産分割の柔軟な方法」「税制優遇」など、より良い選択肢を取ることができます。

まとめまずは専門家に相談するのが最善の方法

相続手続きは「自分でやれば費用がかからない」と考えがちですが、実際には法律知識や正確な書類作成、期限管理が求められ、わずかなミスでも大きなトラブルに発展する可能性があります。

トラブルを避けるためには、まず 相続人と相続財産の基礎調査 を丁寧に行い、手続きの正しい順序と期限を守ることが重要です。特に、3か月以内に「相続するかどうか」を判断するための準備を整えるのは容易ではありません。仕事や家事と並行して進める場合、期限内にすべてをこなすのは非常に難しいのが現実です。

すべての手続きを専門家に依頼する必要はありませんが、この基礎調査だけは専門家に任せることで、リスクを最小限に抑え、安心して相続手続きを進めることができます。

相続の全体像を知らずに自己流で進めることは大きなリスクとなります。選択肢を広く持ち、後悔を避けるためにも、迅速に専門家へ相談することが最善の方法といえるでしょう。