はじめに
「遺言書」というと、高齢になってから準備するものと思われがちです。ですが実際には、30代の方でも突然の事故や病気によって「もしも」の事態が起こる可能性はあります。
特に結婚・出産・住宅購入などライフイベントが重なるこの世代は、財産や家族を守るために遺言書の有無が大きな意味を持ちます。
この記事では、30代が遺言書を作成しなかった場合に起こり得るリスクを、実際の具体的な事例をもとに解説します。
30代でも遺言書が必要な理由
- 家庭を持ち、扶養家族が増える時期である
- 収入の中心であるため、万一のときに家族が困る
- 親の相続が重なることもあり、複雑な相続関係になる
「若いからまだ大丈夫」と思っていても、実際には30代で遺言書を作らずに残された家族が苦労するケースは珍しくありません。
具体的な事例①:住宅ローンが残ったまま急逝

30代後半のAさんはマイホームを購入して数年後、交通事故で急逝しました。団体信用生命保険でローンは完済されましたが、不動産の名義が夫単独だったため、遺言書がなく相続人(妻と未成年の子ども2人)の共有財産となりました。
その結果、未成年の子供には家庭裁判所で特別代理人を立てる必要があるため、妻は煩雑な手続きと精神的負担を抱えることに。(妻が不動産を単独で相続するには、妻が自腹で子供の法定相続分の金銭を支払わないといけない可能性)
→ 遺言書で「妻に不動産を相続させる」と指定していれば、スムーズに解決できたケースでした。
具体的な事例②:再婚家庭でのトラブル

30代前半のBさんは再婚し、前妻との間に子ども、現妻との間にも子どもがいました。遺言書を残さず病気で亡くなった結果、相続人は「現妻」「前妻の子」「現妻の子」の3人。
疎遠だった前妻の子が遺産分割協議に参加することになり、話し合いが難航。預金の引き出しができず、生活費に困る事態になりました。
→ 遺言書があれば、配分を事前に指定でき、家族の生活を守ることができました。
具体的な事例③:独身・子なしの場合でも

30代男性Cさんは独身で子どももいません。急な病気で亡くなった際、相続人は健在の両親だけでした。
Cさんは両親の老後を支援するために預金を積み立てていましたが、死亡後すぐに口座が凍結され、両親は葬儀費用や医療費の支払いに苦労しました。遺言書がなかったため、口座解約には遺産分割協議書の作成などの手続きが必要となり、実際に預金が引き出せるまでに数か月を要しました。
→ 遺言書で「葬儀費用に充てるため、預金の一部を母に相続させる」と指定しておけば、両親は速やかに資金を受け取ることができ、経済的負担を軽減できたケースでした。
遺言書がない場合の主なリスク
- 相続人全員の合意が必要となり、手続きが長引く
- 家族間の関係悪化・トラブルの火種になる
- 未成年の子が相続人だと裁判所の関与が必須になる
- 配偶者の元配偶者(子)に連絡を取らないといけなくなる
まとめ:30代だからこそ準備を
30代はまだ若いと考えがちですが、実際には家族の生活を支える中心世代です。遺言書は「残された家族への思いやり」であり、作成しておくことで生活の安定やトラブル回避につながります。
住宅ローンや子育て、再婚家庭といった複雑な事情を抱えている場合はもちろん、独身や子どもがいない場合でも、両親の老後資金や兄弟姉妹への配慮が関わってきます。遺言書を用意していないと、相続手続きが長期化したり、親族間で思わぬトラブルに発展することがあります。
遺言書は、法律的に有効な形で財産の分け方を残すことができる唯一の手段です。残された家族が安心して生活を続けられるようにするための「思いやりの証」であり、自分自身の意思を未来に伝える大切なメッセージにもなります。
30代だからこそ、「まだ大丈夫」ではなく「今のうちから準備を」という意識が必要です。小さな一歩でも早く踏み出すことで、家族を守り、未来の安心につながります。
行政書士に相談するメリット
遺言書は自分で書くこともできますが、法的要件を満たさないと無効になるリスクがあります。また、家庭の事情(再婚、未成年の子、親族関係の複雑さ)によって、適切な内容を検討することが重要です。
行政書士74事務所では、北九州・下関エリアを中心に遺言書作成のサポートを行っています。
- 家族状況に合わせた遺言内容の提案
- 法的に有効な形での遺言書作成サポート
- 将来の相続手続きの見通しまでトータルで相談可能
「うちはまだ大丈夫」と思っている30代の方こそ、早めの準備が安心につながります。
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遺言書は「いつか」ではなく「今」準備することが大切です。
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