自宅しか財産がない家庭で、遺言がなかった場合に起きた問題|北九州の行政書士が解説

目次

結論|「自宅しかないから大丈夫」は、相続で一番危険な考え方です

結論からお伝えします。

相続財産が自宅しかない家庭こそ、遺言がないと相続が止まりやすいという現実があります。

北九州で相続のご相談を受けていると、

「財産は自宅だけです」
「預金もほとんどありません」

というご家庭ほど、相続が進まず、家族が困ってしまうケースを多く見てきました。

理由は単純で、不動産は“分けられない財産”だからです。

事例|「家は母が住み続ければいい」と思っていたけれど…

北九州市で実際にあった相談です。

亡くなられたのは70代の父。
財産は、家族が住んでいた自宅不動産のみでした。

相続人は、

  • 配偶者(母)
  • 子ども2人

家族関係は良好で、生前から「家は母が住み続ければいいよね」と話していたそうです。

しかし、遺言は残されていませんでした。

この「遺言がなかったこと」が、思わぬ問題を引き起こすことになります。

問題①|「話し合えば大丈夫」が通用しなかった

相続が始まると、まず必要になるのが遺産分割協議です。

ところがこの家庭では、

  • 母は「これからもこの家に住み続けたい」
  • 長男は「将来、この家をどうするのかが不安」
  • 次男は「自分の持分は、最終的にどうなるのか知りたい」

と、それぞれの立場によって考え方に少しずつ違いがありました。

誰かが間違っているわけではありません。立場が違えば、見え方が違うのが相続です。

その結果、

  • 話し合いがなかなかまとまらない
  • 書類に署名・押印ができない
  • 相続手続きが一切進まない

という状態に陥ってしまいました。

なお、この事例では最終的に遺産分割協議を行うことはできましたが、もし相続人の中に認知症などにより判断能力が低下した方がいた場合、そもそも遺産分割協議自体ができず、相続手続きが完全に止まってしまうケースも少なくありません。

「話し合えば何とかなる」と思っていた相続ほど、状況次第では取り返しがつかなくなることがあります。

問題②|配偶者が「何もできない立場」になってしまった

多くの方が誤解していますが、配偶者がいる=すべて相続できるわけではありません。

遺言がない場合、子供が自分の持分を主張すれば、配偶者と子どもが法定相続分で共有することになります。

このケースでは、

  • 母:1/2
  • 子ども2人:それぞれ1/4

という持分になりました。

その結果、

  • 売ることもできない
  • リフォームも自由にできない
  • 名義変更も進まない

「住み続けたいだけなのに、何も決められない」という状況に、母は強い不安を感じていました。

問題③|「現金がない相続」は、想像以上に苦しい

自宅しか財産がない相続では、

  • 固定資産税
  • 修繕費
  • 相続手続き費用

といった現金支出が必ず発生します。

しかし、分けられる預金がないため、

  • 誰が負担するのか
  • 立て替えるのか
  • 将来清算するのか

といった点でも、話し合いが難航しました。

問題④|「売る・売らない」の判断で家族関係がぎくしゃくする

自宅しか財産がない場合、最終的に必ず出てくるのがこの話題です。

「この家、将来どうする?」

  • 売却して分けたい
  • 思い出があるから残したい
  • 空き家になるのは避けたい

正解はありません。
だからこそ、遺言で意思が示されていないことが、家族に重い判断を押し付けてしまいます。

「自宅しかない相続」が特に危険な理由

自宅のみの相続が難しい理由は、次の3つです。

  1. 分割できない
  2. 評価額で揉めやすい
  3. 誰かが我慢する形になりやすい

そして何より、

「親の意思が分からない」ことが、家族を一番苦しめます。

遺言があれば、何が違ったのか?

もしこの家庭に、次のような遺言があったらどうでしょうか。

  • 自宅は配偶者に相続させる
  • 子どもには将来の考え方を伝える
  • 売却や管理についての方針を示す

たったこれだけでも、

  • 話し合いは不要
  • 手続きはスムーズ
  • 家族が迷わない

という結果になっていた可能性が高いのです。

「自宅しかない家庭」こそ、公正証書遺言が向いている

自宅しか財産がない場合、

  • 内容の曖昧さ
  • 解釈の違い
  • 無効リスク

は、致命的になります。

そのため実務では、公正証書遺言が選ばれるケースが非常に多いです。

理由は、

  • 不動産の記載が正確
  • 無効になりにくい
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 相続開始後に手続きが止まりにくい

からです。

「まだ大丈夫」と思っている今が、一番の準備タイミング

自宅しか財産がない家庭ほど、

「うちは特別なことはない」
「まだ元気だから」

と、遺言を後回しにしがちです。

しかし実際に困るのは、残された家族です。

北九州で自宅の相続に不安がある方へ|行政書士74事務所より

当事務所では、

  • 自宅しかない場合の遺言設計
  • 配偶者を守るための内容整理
  • 公正証書遺言の作成サポート
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まで、実務目線でサポートしています。

「うちも当てはまるかもしれない」
そう感じた段階でのご相談が、最も効果的です。

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