はじめに|「良かれと思って」が後悔に変わる瞬間
「元気なうちに子どもへ渡しておいた方がいい」
「相続で揉めるくらいなら、先に贈与しておこう」
生前贈与のご相談を受けていると、こうした言葉をよく耳にします。確かに、生前贈与は早めに財産を移すという意味では、一見とても合理的に見えます。
しかし実務の現場では、
- 生前贈与をしたあとに家族関係が悪くなった
- 税金や手続きの負担が想像以上に重かった
- 結局「遺言を作っておけばよかった」と後悔している
というケースが少なくありません。
この記事では、生前贈与をして後悔してしまう人に共通するポイントを整理し、なぜその判断が失敗につながりやすいのかを解説します。
結論|後悔する人には「共通する判断ミス」がある
先に結論をお伝えします。
生前贈与で後悔する人の多くは、生前贈与を「目的」ではなく「手段」として考えきれていません。
つまり、
- なぜ贈与するのか
- 今でなければならない理由はあるのか
- 他の方法(遺言)では本当にダメなのか
この整理をしないまま、「良さそうだから」「節税になると聞いたから」という理由だけで進めてしまうのです。
共通点①|「今すぐ贈与する理由」がはっきりしていない
後悔するケースで一番多いのがこれです。
- 特に急ぎの事情はない
- 将来相続で渡す予定の財産
- ただ「早めに渡した方がいいと思った」
この場合、生前贈与をする必然性がありません。
結果として、
- 贈与税の申告が必要になる
- 他の相続人との不公平感が生じる
- 「なぜこの人に、この金額なのか」説明できない
という問題が後から表面化します。
「今でなければ意味がない理由」がない生前贈与は、後悔につながりやすいのが実情です。
共通点②|税金や手続きを「軽く考えている」
生前贈与という言葉だけが先行し、
- 贈与税の税率
- 基礎控除の限界
- 不動産の場合の登録免許税・不動産取得税
といった現実的な負担を、十分に把握していないケースも多く見られます。
「相続税より安いと思っていた」
「110万円までは大丈夫だと思っていた」
こうした認識のまま進めてしまい、思った以上の税負担に驚くことになります。
税金面だけを見ても、多くのケースでは相続の方が有利です。
共通点③|家族の気持ちや立場の違いを想定していない
生前贈与をした本人は、「家族のため」「揉めないため」と考えていても、
- 他の子どもはどう感じるか
- 将来、状況が変わったらどうなるか
- 介護や同居のバランスはどう評価されるか
まで想定できていないことが少なくありません。
特に多いのが、
- 介護をしている子に多く贈与した
- 「平等のつもり」が不公平と受け取られた
- 説明ができず、感情的な対立に発展した
というケースです。
生前贈与は、一度すると原則として取り消せません。その重さを軽く考えてしまうと、後悔につながります。
共通点④|「生前贈与で十分」と思い、遺言を作っていない
実務で非常に多いのがこのパターンです。
- 通帳を特定の子に預けている
- 葬儀費用の準備もしている
- 相続の話は一応している
そのため、
「もう遺言までは必要ないと思っていた」
という方が少なくありません。
しかし法律上は、
- 通帳の名義は本人
- 預けているお金はすべて相続財産
- 生前の口約束は基本的に通らない
という扱いになります。
結果として、本来守りたかった人が一番困ることも珍しくありません。
実務で多い結論|生前贈与は「例外」、原則は遺言
これまでのケースを総合すると、実務では次のような結論になることが多いです。
- 明確な目的・理由がある場合のみ生前贈与
- それ以外は、生前贈与を急がない
- 遺言で最終的な意思を整理する
遺言であれば、
- 何度でも書き直せる
- 状況に応じて調整できる
- 想い・理由を言葉として残せる
という点で、生前贈与よりも柔軟で安全です。
まとめ|後悔しないために必要なのは「順番」
生前贈与で後悔する人の共通点は、
- 急ぐ理由がないのに贈与した
- 税金・手続きを軽く考えた
- 家族の受け止め方を想定していなかった
- 遺言を作らなかった
という点に集約されます。
大切なのは、
生前贈与を考える前に、まず遺言で全体像を整理すること
です。
生前贈与に迷っている方へ|行政書士74事務所より
当事務所では、
- 生前贈与をすべきかどうかの整理
- 相続と遺言、どちらが適しているかの判断
- 公正証書遺言の作成サポート
まで、実務目線で一緒に考えるサポートを行っています。
「生前贈与を考えているが、この判断で合っているのか不安」そんな段階からのご相談で構いません。
最終的に後悔しない選択をするために、一度、専門家と整理してみてください。


