はじめに|離婚後こそ「相続の準備」が必要な理由
離婚後、未成年の子どもを育てている方にとって、日々の生活や教育のことを考えるだけで精一杯というのが現実でしょう。
一方で、見落とされがちなのが「もし自分が亡くなったら、子どもはどうなるのか」という問題です。
特に、
- 離婚している
- 親権を自分が単独で持っている
- 子どもが未成年で、しかも複数いる
このような状況では、相続が一気に複雑な問題に変わります。
この記事では、離婚して未成年の子どもが複数いる場合に起こり得る相続リスクと、なぜ遺言による備えが重要なのかを、実務の視点で解説します。
結論|離婚・単独親権・未成年がそろうと相続は「家庭裁判所案件」になる
結論からお伝えすると、離婚して未成年の子どもがいる場合、遺言がない相続は非常に危険です。
理由は明確で、親が亡くなった瞬間、子どもには「親権者」がいなくなるからです。
この状態で相続が始まると、家庭裁判所が関与する手続きが次々に必要になり、子どもに大きな負担がかかります。
離婚しても、未成年の子どもは相続人になる
まず大前提として、離婚していても、親と子の親子関係は消えません。
そのため、親が亡くなった場合、未成年の子どもは法定相続人として財産を相続する権利を持ちます。
これは、
- 親権の有無
- 元配偶者との関係
- 同居か別居か
とは無関係です。
親が亡くなると「単独親権」は消える
ここが、離婚後の相続で最も重要なポイントです。
離婚後、多くのケースでは親のどちらか一方が単独で親権を持っています。
しかし、その親権者である親が亡くなると、その瞬間に親権者はいなくなります。
つまり、未成年の子どもは法律上「親権者不在」の状態になります。
親権者がいない未成年は、法律行為ができない
未成年者は、単独で法律行為を行うことができません。
相続においては、次のような行為がすべて法律行為にあたります。
- 遺産分割協議への参加
- 相続放棄や限定承認
- 預貯金・不動産の名義変更
親が亡くなり、親権者がいない状態では、これらの手続きを誰も進めることができないのです。
そこで必要になるのが「未成年後見人」
このような場合、家庭裁判所に申立てを行い、未成年後見人を選任する必要があります。
未成年後見人とは
未成年後見人とは、親に代わって未成年者を保護・監督し、財産管理や法律行為を行う立場の人です。
つまり、親が亡くなった後、第三者が子どもの財産や権利を管理するという状態になります。
未成年後見人の選任は簡単ではない
未成年後見人は、自動的に決まるものではありません。
- 家庭裁判所への申立て
- 候補者の適格性の審査
- 選任までの一定期間
が必要です。
この間、相続手続きは事実上ストップします。
子どもが複数いると、さらに問題は複雑化する
未成年の子どもが1人だけであれば、未成年後見人が1人つけば対応できる場合もあります。
しかし、未成年の子どもが複数いる場合は事情が変わります。
- 子どもごとに利害が異なる
- 財産の分け方で対立が生じる可能性がある
このような場合、子どもごとに別々の後見人が必要になるケースもあります。
遺産分割では「特別代理人」が必要になることも
さらに、遺言がなく、遺産分割協議が必要な場合には、特別代理人の選任が必要になることがあります。
特別代理人とは、特定の法律行為(この場合は遺産分割協議)について、未成年者の利益を守るために選ばれる代理人です。
これも、家庭裁判所への申立てが必要です。
遺言がないと起きる現実的なリスク
離婚して未成年の子どもが複数いる家庭で、遺言がないまま親が亡くなると、次のような事態が起こり得ます。
- 親が亡くなった直後に、家庭裁判所の手続きが始まる
- 相続手続きが進まず、生活費の確保が遅れる
- 子どもの将来設計が立てられない
- 親の意思が分からず、周囲が判断に困る
これらはすべて、親が生前に何も決めていなかったことが原因です。
遺言があれば、避けられることが多い
遺言があれば、相続の流れは大きく変わります。
- 誰に、何を相続させるかを明確にできる
- 遺産分割協議を行わずに済む
- 家庭裁判所の関与を最小限にできる
- 遺言によって、未成年後見人をあらかじめ指定できる
特に、離婚して未成年の子どもがいる場合、この「未成年後見人の指定」ができるかどうかは非常に重要です。
遺言がなければ、親の死亡後に家庭裁判所で後見人を選任する必要がありますが、遺言で指定しておけば、親権者不在による混乱や手続きを大きく減らすことができます。
結果として、未成年後見人や特別代理人が必要となる場面を、最小限に抑えることが可能になります。
結果として、未成年後見人や特別代理人が必要となる場面を減らすことが可能です。
親が今、考えておくべきこと
離婚して未成年の子どもが複数いる場合、最低限、次の点は考えておく必要があります。
- 自分が亡くなった後、誰が子どもを法的に支えるのか
- 財産をどのように分けるのが現実的か
- 家庭裁判所の関与をできるだけ減らせるか
そのための最も現実的な方法が、遺言を作成しておくことです。
まとめ|遺言は「親の責任」であり「子どもを守る手段」
離婚後、未成年の子どもがいる家庭では、相続は単なるお金の問題ではありません。
- 親権者がいなくなる
- 後見人・特別代理人が必要になる
- 家庭裁判所が深く関与する
こうしたリスクを理解したうえで、子どもを守るために何ができるかを考える必要があります。
その答えの一つが、遺言による事前の備えです。
子どもの将来を守るために、今できる準備を
離婚後の相続や、未成年の子どもが関わる相続は、一般的な相続よりもはるかに複雑です。
行政書士74事務所では、
- 離婚・単独親権・未成年という状況を踏まえた相続設計
- 未成年後見人や特別代理人が問題になるケースの整理
- 「実際に使える遺言」になっているかの確認
を重視した遺言作成サポートを行っています。
「自分に何かあったとき、子どもが困らないか不安」
「遺言が必要なのは分かるが、何から始めればいいか分からない」
そのような段階でも構いません。子どもの将来を守るための準備を、今から一緒に考えてみませんか。


