はじめに
「うちは子どもが1人だから、遺言書はいらないですよね」
このご相談、かなり多いです。
たしかに、一見すると揉める相手もいないし、手続きもシンプルに見える。
だからこそ、「わざわざ遺言書まで作らなくても」と感じるのも自然な流れ。
ただ…実務の現場にいると、この考えが少し危うい場面、よく見ます。
相続人が1人だからこそ、逆に止まる。
そんなケースもあるんですね。
今日はそのあたり、少しリアルな話をしていきます。
結論
相続人が子ども1人であっても、遺言書はあった方がいい。
理由はシンプルで、
「揉めない」と「スムーズに進む」は別の話だから
そしてもう一つ。
想定していなかった人が関わる可能性があるから
ここを押さえておくだけで、見え方が変わるはずです。
相続人が1人でも手続きは止まる
よく誤解されるんですが、相続人が1人=手続きが簡単、とは限りません。
確かに、遺産分割協議は不要になるケースが多い。
ただ、銀行や不動産の手続きは別。
金融機関や法務局などの関係機関は、「本当にこの人だけが相続人なのか」を厳密に確認します。
そのために必要なのが戸籍の収集。
出生から死亡まで、すべて揃える必要がある。
これが意外と大変なんですね。
しかも、本籍が北九州以外にあると、複数の自治体に請求することになる。
時間も手間もかかる。
遺言書があれば、この確認がシンプルになることが多い。
ここ、見落とされがちなポイントです。
「本当に1人なのか?」という壁
実務で意外と多いのが、このケース。
「子どもは自分だけだと思っていた」
でも調べていくと、過去の婚姻関係から別の相続人がいることが判明する。
いわゆる、前婚の子ども。
存在を知らなかった、もしくは疎遠になっていたケース。
ここで初めて、「相続人が1人ではなかった」と気づく。
そして一気に状況が変わる。
遺言書があれば、このリスクをある程度コントロールできる。
逆にない場合、突然人が増える。
この差は大きいですね。
手続きを進める側の負担が集中する
相続人が1人の場合、すべての手続きがその人に集中します。
戸籍の収集、銀行手続き、不動産の名義変更。
誰かと分担することもできない。
しかも、慣れていない手続きばかり。
仕事をしながら進めるとなると、想像以上に負担が大きい。
遺言書があると、手続きの流れが明確になる。
迷う時間が減る。
これだけでも、精神的な負担はかなり軽くなるはずです。
親の意思が分からないという不安
相続人が1人でも、迷いは出ます。
「この家は売っていいのか」
「このお金はどう使うべきなのか」
誰にも相談できない分、自分で判断するしかない。
その判断が合っているのか、不安になる。
遺言書があると、少なくとも親の意思は分かる。
これだけで、安心感が違う。
個人的には、この“安心感”が一番大きいメリットだと思っています。
北九州でよくあるケース
北九州でのご相談でも、子ども1人のケースは少なくありません。
ただ、いざ手続きを始めると、
「思ったより時間がかかる」
「こんなに書類が必要なのか」
という声が多い。
特に戸籍の収集は、想像以上に手間がかかる。
そしてその間、手続きは進まない。
遺言書があれば、こうした部分がスムーズになることが多い。
ここは実務上の大きな差ですね。
「いらない」と思う気持ちも分かる
正直に言うと、「子ども1人なら遺言はいらない」という考え、間違いではありません。
実際、なくても手続きはできる。
ただ、その“できる”までの過程が問題。
時間がかかる、手間がかかる、精神的にも負担がある。
そこをどう考えるか。
これは個人的な意見ですが、遺言書は「トラブル防止」だけでなく、「負担軽減」の意味合いも強いと思っています。
まとめ
相続人が子ども1人でも、遺言書を作る意味はある。
揉めないから不要、ではなく、スムーズに進めるために必要。
そして、想定外の事態に備えるためのもの。
相続は、一度始まると止められません。
だからこそ、準備できるうちに整えておく。
それだけで、後の負担は大きく変わるはずです。
北九州で遺言書作成をお考えの方へ
「うちはシンプルだから大丈夫」
そう思っている方ほど、一度整理しておく価値があります。
行政書士74事務所では、北九州市・下関市エリアを中心に、遺言書の作成サポートを行っています。
難しい手続きを丸投げするというより、一緒に内容を整理していくイメージに近いかもしれません。
いきなりご依頼という形でなくても大丈夫です。
ただ、早めに整えておくことで、その後の負担が軽くなるケースが多いのも事実です。
少しでも気になっているのであれば、そのタイミング、大事にしていただきたいところですね。


