【相続不動産の売却の基礎】媒介契約の種類とメリット・デメリット

不動産媒介契約の種類と特徴

相続不動産を売買する際には、不動産業者と契約を結ぶ必要があります。この契約を「媒介契約」といいます。

媒介契約とは、不動産業者に物件の売買や賃貸を仲介してもらうための契約です。媒介契約には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴や義務があります。

この記事では、媒介契約の種類について詳しく解説し、各契約の特徴とその選び方を説明します。

目次

1. 不動産媒介契約とは?

不動産媒介契約とは、不動産業者に対して物件の売買または賃貸契約を仲介してもらうために結ぶ契約です。媒介契約を結ぶことで、不動産業者は売主(依頼者)と買主(相手方)の間に立って取引を進めます。

媒介契約には、主に以下の2つの種類があり、それぞれの契約には依頼者と業者の義務、報酬の取り決めが異なります。

2. 不動産媒介契約の種類

2-1. 一般媒介契約

一般媒介契約は、不動産業者に対して物件の売買や賃貸の仲介を依頼する最も一般的な契約形式です。この契約では、複数の不動産業者に媒介を依頼することが可能です。

依頼者は、物件に関心のある不動産業者を選ぶことができ、業者間で競争が生まれるため、売主にとってはメリットがあるとされています。

特徴
  • 複数業者に依頼可能:同じ物件について複数の不動産業者に媒介を依頼することができます。
  • 自由な契約解除:売主は、契約の途中で自由に別の業者に依頼し直すことができます。
  • 報酬の支払い:取引が成立した際、仲介手数料は業者に支払います。通常、売買の場合は売主が業者に支払うことが一般的ですが、売主と業者の取り決めによっては買主が支払う場合もあります。
メリット
  • 自由度が高い:他の業者に依頼をかけて、物件が早く売れる可能性が高まります。
  • 費用負担が軽い:複数の業者に依頼できるため、費用対効果が高く、競争が促進されます。
デメリット
  • 業者の活動が積極的でない可能性:複数の業者に依頼している場合、業者が積極的に販売活動を行わない場合もあります。
  • 管理が面倒:複数の業者に依頼している場合、その進捗状況を把握しきれないこともあります。

2-2. 専任媒介契約

専任媒介契約は、特定の不動産業者に対して、物件の売買または賃貸を専属で依頼する契約です。

売主は、契約期間中、他の不動産業者に依頼することができません。また、専任媒介契約では、業者は契約期間中に積極的に販売活動を行う義務があります。

特徴
  • 1社との専属契約:物件の売買や賃貸に関して、1つの不動産業者にのみ依頼することができます。
  • 販売活動の義務:業者は、積極的に物件の販売活動を行わなければならず、定期的に活動報告を行う義務があります。
  • 依頼者の義務:依頼者は、他の業者に依頼することができず、契約に基づいて1社に専任することが求められます。
メリット
  • 業者の活動が積極的:専任媒介契約を結んだ不動産業者は、売主に対して定期的に報告を行い、積極的に物件の販売活動を行うため、スムーズに取引が進む可能性があります。
  • 信用度の向上:1社と専任契約を結ぶことで、その業者の信用度が高まり、物件の取引を進めやすくなります。
デメリット
  • 他業者への依頼ができない:専任媒介契約を結ぶと、他の業者に依頼することができません。もし業者の対応が悪かった場合、途中で契約解除をするのが難しくなることがあります。
  • 競争が少なくなる:競争が少なくなり、業者が積極的に販売活動を行わない可能性もあるため、取引成立までの時間が長引くこともあります。

2-3. 専属専任媒介契約

専属専任媒介契約は、専任媒介契約よりもさらに厳格な契約で、依頼者(売主)は、契約期間中、物件の取引については指定された不動産業者にしか依頼できません。

また、依頼者が直接売買や賃貸を行った場合でも、業者に報酬を支払わなければならないという特徴があります。

特徴
  • 1社と専属契約:売主は、指定された1社と専属契約を結び、その業者にのみ取引を依頼します。
  • 業者の義務:業者は、売主に対して積極的に物件の販売活動を行い、活動状況を定期的に報告します。
  • 報酬の支払い義務:売主が直接取引を行っても、業者に報酬を支払う義務があります。
メリット
  • 業者が積極的に動く:業者は他の業者との競争がないため、積極的に販売活動を行うことが期待できます。
  • 迅速な取引成立:契約期間中に物件が早く売れる可能性が高くなります。
デメリット
  • 他業者に依頼できない:専属専任契約の期間中は、他の業者に依頼することができません。
  • 直接契約にも報酬支払い義務が発生:依頼者が直接取引を成立させた場合でも、不動産業者に報酬を支払わなければならないため、無駄な費用がかかる可能性があります。

3. どの媒介契約を選ぶべきか?

不動産媒介契約を選ぶ際には、依頼者の目的や取引の状況に応じて、最適な契約を選ぶことが重要です。それぞれの契約のメリットとデメリットを比較し、以下のような点を考慮して選びましょう。

  • スピード重視の場合:物件を早急に売却したい場合は、専任媒介契約や専属専任媒介契約を選ぶと良いでしょう。業者が積極的に活動するため、早期の取引成立が期待できます。
  • 費用対効果を重視する場合:複数の業者に依頼したい場合は、一般媒介契約が適しています。競争を促すことで、取引条件が有利に進むことがあります。
  • 業者の信頼性が重視される場合:信頼できる業者に任せたい場合は、専任媒介契約を結ぶと良いでしょう。業者の活動が定期的に報告され、取引がスムーズに進みます。

私が当事者だとすると、時間があるのであれば、まずは一般媒介契約で、専属専任媒介契約と同じように一生懸命動いてくれる不動産会社を探します。

その後買い手が見つからない場合は、専任媒介契約に移行するという形を取るでしょう。

4. まとめ

不動産媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれに特徴やメリット、デメリットがあります。物件の売買や賃貸を依頼する際には、契約内容をよく理解し、自分の目的に最も適した契約を選ぶことが大切です。

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