相続が発生すると、誰が財産を受け取るのか、法律に基づいて決まります。
特に兄弟姉妹が相続人になるケースは少し複雑で、誤解されやすい部分も多くあります。
この記事では、兄弟姉妹の相続に関して初心者でも分かりやすく理解できるように解説します。
1. そもそも「兄弟姉妹の相続」とは？
被相続人（亡くなった方）に配偶者や子どもがいない場合、その次に相続権があるのは「直系尊属」（両親など）です。
しかし、それらもすでに亡くなっている場合には、「兄弟姉妹」が相続人になります。
つまり、兄弟姉妹が相続人になるのは、以下の順番で他に相続人がいない場合です。
- 子どもがいない
- 両親や祖父母などの直系尊属もいない
- 兄弟姉妹がいる
このようなケースでは、兄弟姉妹が法定相続人になります。
2. 代襲相続とは？
代襲相続（だいしゅうそうぞく）とは、本来相続するはずだった人が先に亡くなっている場合、その人の子どもが代わりに相続することです。
兄弟姉妹の相続の場合でも、この代襲相続が適用されます。
具体的には、被相続人の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その兄弟姉妹の子ども（つまり甥や姪）が代わって相続人になります。
- 被相続人 Aさん
- Aさんの兄 Bさん（すでに死亡）
- Bさんの子ども Cさん（甥）
この場合、Bさんに代わってCさんが相続人になります。
注意点 代襲相続は甥・姪まで
兄弟姉妹の代襲相続が認められるのは、その子ども（甥や姪）までです。
甥姪がすでに亡くなっていても、さらにその子ども（つまり被相続人から見て「またい甥姪」）には相続権はありません。
この点は、子どもの相続（直系卑属）とは異なります。
子どもの場合は孫、ひ孫と代襲が続きますが、兄弟姉妹の場合は甥姪で止まるのです。
3. 兄弟姉妹が「被相続人より後に亡くなった」場合の注意点
ここで重要なのが、「兄弟姉妹が被相続人より後に亡くなった場合」です。
この場合、亡くなった兄弟姉妹は一度相続人になります。
そのため、その兄弟姉妹の持ち分は、亡くなった後にその人の法定相続人に移ることになります。
つまり、その兄弟姉妹の配偶者や子どもが代わりに相続するということです。
- 被相続人 Aさん
- 兄弟姉妹 Bさん（Aさんの死後に死亡）
- Bさんの子ども Cさん
この場合、BさんはAさんの相続人となり、Bさんの持ち分はCさんへと相続されます。
このような流れになると、相続人の数が一気に増え、遺産分割が複雑になることがあります。
4. よくある誤解と注意点
誤解１ 代襲相続はどこまでも続く
→兄弟姉妹の相続における代襲は、甥姪までです。曾甥（ひこおい）や曾姪（ひめい）には相続権がありません。
誤解２ 兄弟姉妹の配偶者にも相続権がある
→代襲相続の場合は、兄弟姉妹の配偶者には相続権がありません。
あくまでも兄弟姉妹本人、またはその子どもまでが対象です。
誤解３ 甥や姪までしか相続しない
→甥や姪までしか相続人にならないのは、兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合の「代襲相続」のときだけです。
被相続人より後に亡くなっているのであれば、その法定相続人が相続権を引き継ぎますので、例えば、甥姪だけでなく配偶者も相続人になります。
5. 相続が複雑になる理由
兄弟姉妹相続は、人数が多くなりやすいため、話し合いや手続きが複雑になる傾向があります。
例えば、兄弟姉妹が5人いて、そのうち2人が亡くなっていて、それぞれに子どもが複数いるような場合、一つの相続に10人以上が関わることもあります。
このような状況では、全員の同意が必要な遺産分割協議が非常に難航することもあります。
また、関係が疎遠で連絡先が分からない親族がいるケースもあります。
6. トラブルを防ぐためには？
兄弟姉妹相続は思わぬ相続人の登場や人数の多さでトラブルになりやすいため、以下の対策を検討しましょう。
遺言書の作成
遺言書があれば、誰にどの財産を渡すかを明確に指定できます。
兄弟姉妹相続が発生しそうな場合は、遺言書の作成が有効です。
家族との話し合い
生前に親族と話し合っておくことで、いざというときの混乱を避けることができます。
できれば、若いうちからコミュニケーションをとっておくことをおすすめします。
専門家への相談
相続が複雑になりそうな場合は、早めに行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
兄弟姉妹の相続は、一般的な相続と比べて複雑になりやすく、誤解されやすいポイントも多くあります。
特に代襲相続の範囲や、被相続人より後に亡くなった兄弟姉妹の持ち分がどうなるのかなど、理解しておくべきポイントが多数あります。
大切なのは、事前の準備と理解、そして必要に応じて専門家の力を借りることです。
この記事を参考に、相続について正しく理解し、トラブルのない円満な相続を目指してください。
困ったときは専門家への相談も検討しながら、確実に進めていきましょう。
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