【事例】納得のいかない遺言内容
【家族構成】
夫(48歳)、妻(45歳)相談者、長男(18歳)、次男(15歳)
私は4人家族で夫と子供2人いますが、夫は数年前に私たち家族を捨て、他の女性のところで暮らしています。(事実婚)
ただ、離婚はしていません。
私は子供達を育てるべく日中にパートをして夜遅くまで家事をしています。
最近、その夫が交通事故で亡くなりましたが、夫は遺言書を残していました。
ですが、その遺言書の内容が信じられませんでした。
夫の全ての財産を事実婚の相手に全て遺贈するという内容だったのです。
私に残さないのはわかりますが、受験前の未成年の子供達に1円も残さないことに腹が立ちます。
このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか?
遺留分侵害請求ができる
結果から申しますと、法定相続人である配偶者・子・親には遺留分というものがあるので、全ての財産を事実婚相手に持っていかれることはありません。
遺留分とは、法定相続人の生活を最低限保障するためにある遺産の割合のことです。
詳細は【【相続対策】遺言書が原因で揉める!?揉めない遺言書の書き方】に遺留分について解説していますのでそちらをご覧ください。
配偶者である妻・子供は遺留分侵害請求を事実婚相手にすれば、法定相続分の2分の1は財産を承継することができます。
注意しないといけないのが、この遺留分侵害請求は預貯金などの金銭債権のみと民法の規定されています。
なので、不動産が欲しいからといって遺留分侵害請求をして不動産の請求はできません。
また、遺留分侵害請求には権利の主張をする期間が決められており、遺留分侵害請求ができると知った時から1年、相続が発生してから(被相続人が亡くなってから)10年となっているので、早めに請求することをお勧めします。
具体的な計算例
例えば、5,000万円の財産を事実婚相手に全て遺贈するとしていた場合の遺留分は
妻の法定相続分 2分の1 × 2分の1 = 4分の1
子供の法定相続分 2分の1 × 2分の1 = 4分の1 × 2人 = 8分の1
となるので、
妻の遺留分 5,000万円 × 4分の1 = 1,250万円
長男の遺留分 5,000万円 × 8分の1 = 625万円
次男の遺留分 5,000万円 × 8分の1 = 625万円
となります。
まとめ
今回は、実際にあった相続事例についてお伝えしました。
今回のように遺言書を作成していることはとても素晴らしいことです。
他人に干渉されず自分の意中の相手に財産を承継させることができるので、良い制度だと思います。
ですが財産の承継先だけでなく、財産の承継の割合についてもしっかりと考える必要があります。
自分の財産なので誰に承継させようと本人の自由ですが、今回のように事実婚相手に多く残したいというのであれば、遺留分を侵害しない割合を遺贈するとした内容にするべきです。
遺留分を侵害してしまうと必ず相続トラブルに発展します。
残される家族、自分が遺そうとしていた事実婚相手にとっても負担が大きいものとなります。
また、仮に離婚をしていた場合でも、子供は法定相続人に変わりないので遺留分が発生します。
遺留分についてしっかり考え、相続トラブルが発生しないように遺言書を作成するようにしましょう。
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