【相続事例】北九州 再転相続と数次相続の違い

目次

相続手続き中に相続人が亡くなったら

今回は『再転相続と数次相続の違い』というテーマでお話ししたいと思います。

まず初めに、イメージを持って頂く為に例をあげながら説明します。

例えば、夫Aさん、妻Bさん、子供Cさん、Dさんという4人家族があったとします。

ある日、夫Aさんが病気で亡くなり(第一の相続)、配偶者である妻Bさん、子供Cさん、Dさんの3人が相続人となりました。

この夫Aさんの相続手続きをしていたところ、配偶者である妻Bさんが交通事故で帰らぬ人となってしまいました。(第二の相続)

これが相続手続き中に相続人が亡くなったというひとつの例です。

この場合の夫Aさんの相続手続きはどうなるのか、はたまた夫Aさんの相続人である妻Bさんの相続はどうなるのかを解説していきます。

再転相続と数次相続の違い

今回のように第一の相続(夫Aさんの相続)があり、その相続の熟慮期間内(相続を承認するか、放棄するかの判断をしていない時)に他の相続人が亡くなることを『再転相続』(さいてんそうぞく)といいます。

また、熟慮期間後から遺産分割をおこなう前に相続人が亡くなることを『数次相続』(すうじそうぞく)といいます。

熟慮期間内なのか、熟慮期間後から遺産分割前なのかがポイントです。

二次相続の発生が
・熟慮期間内(3ヶ月以内)→再転相続
・熟慮期間後〜遺産分割前まで→数次相続

再転相続人と起算日

夫Aさん(第一の相続)の相続手続きが終わる前に妻Bさんの相続(第二の相続)が発生しました。

このとき夫Aさん(第一の相続)の財産は相続人である妻Bさんの相続人が承継します。

この場合の再転相続人は、子Cさん、Dさんになりますが、もし妻Bさんに前婚の夫Eさんとの間にもうけた子Fさんがいたとすると、相続人は、子Cさん、Dさん、前婚の子Fさんの3人となります。

Aさんの相続(第一の相続)が発生したときはFさんは相続人ではありませんでしたが、Bさんの相続(第二の相続)が発生し、BさんはAさんの相続する権利があるので、FさんはAさんの相続(第一の相続)を承継することもできます。

再転相続は熟慮期間内におこったことなので、子Cさん、Dさんは父Aさん(第一の相続)の相続を承認するか、放棄するかの判断ができます。

また、母Bさんの相続(第二の相続)についても同様に相続を承認するか、放棄するかの判断をすることができます。

前婚の子Fさんも母であるBさんの相続(第二の相続)について相続の承認するか、放棄するかの判断ができますが、Bさんの相続(第二の相続)を放棄した場合はAさん(第一の相続)の相続は承継することができません。

なぜかというと、Aさん(第一の相続)の相続人であるBさんの権利を放棄したからです。

また、ここで問題なのが判断をおこなう期間(熟慮期間)はいつから起算するのかということです。

基本的な知識として熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知ってから3ヶ月以内におこなうとしています。(民法915条1項)

第915条

  1. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
民法第915条1項-Wikibooks

まずBさんの相続(第二の相続)についてですが、Bさんの死亡を知ってから3ヶ月となります。

これは通常の相続と一緒なので問題ありません。

そしてAさんの相続(第一の相続)ですが、『Aさんの相続(第一の相続)』と『Bさんの相続(第二の相続)』のどちらを起算とするのかが問題となります。

最高裁の判例

これは令和元年8月9日の最高裁の判例です。

伯父が負債をかかえたまま亡くなり伯父の子が相続放棄をしたため、伯父の兄弟である父が相続人となりました。

しかし、父が熟慮期間内に死亡し、父の子である娘が再転相続人となりました。

ですが娘は父の相続は知っていたものの伯父の再転相続人となったことを知らず3年の月日が経過してしまいました。

通説では2回目の相続(父の相続)を知ってから熟慮期間が起算するということであったので、父の相続から3年の月日が経っている娘は相続放棄ができず、伯父の債権会社に債務の回収のための強制執行が宣告されました。

娘が伯父の債務を承継するということになったのです。

娘は伯父の再転相続人だと知らなかったので、相続放棄と強制執行の中止を求めて提訴をしました。

この最高裁の判断として民法916条にいう『その者の相続人が自己のために相続があったことを知った時』とは、”相続の承認、又は、放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものと解すべきである。”と判決しています。

起算点は一次相続

上記判例により、『Aさんの相続(第一の相続)』と『Bさんの相続(第二の相続)』のどちらを起算点にするかというと、『Aさんの相続(第一の相続)を知ったとき』となります。

判決でいうと娘は、伯父の再転相続人になったことを知らなかったので、知ったときから起算するということです。

民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいう。

裁判例結果詳細-裁判所

数次相続人と起算日

数次相続人は、再転相続と同様に死亡した人ごとに相続人を確定していきます。

通常の相続人の調査と変わりありません。

第二の相続の相続人が第一の相続人を承継することができます。

起算日についてはすでに熟慮期間が過ぎ、単純承認もしくは相続放棄の判断をしていると思いますので、改めて判断をするということはできません。

具体的には第一の相続の熟慮期間が経過して承認の判断していて、その後第二の相続が発生した場合、第二の相続は熟慮期間内であれば、承認・放棄の判断はできますが、第一の相続については、承認から放棄に判断を変えるということはできないということです。

まとめ

今回は『再転相続と数次相続の違い』というテーマで解説しました。

相続手続き中に相続人がなくなったら、再転相続と数次相続に分けられることになります。

熟慮期間内なのか、『熟慮期間後から遺産分割前』のどちらかであるかがポイントです。

再転相続も数次相続も家族構成によっては発生すると相続人が増え、手続きが複雑になってしまうので、できるだけ複雑な相続関係になることは避けたいものです。

日頃から相続についての準備(遺言書を作成しておくと、権利の主体が明確なのでおすすめです。)を進めておくとよいでしょう。

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