預貯金の生前贈与をする場合の方法と注意点
生前贈与とは、相続が発生する前に、親や祖父母などから子供や孫に対して財産を贈与する行為のことを指します。
贈与を行うことで、相続税の軽減を図ることができるため、多くの人が利用しています。特に、預貯金に関する生前贈与は、相続財産を減らす方法として人気があります。しかし、贈与には税金がかかるため、慎重に行う必要があります。この記事では、預貯金の生前贈与の方法、注意点、税金の問題について詳しく解説します。
1. 預貯金の生前贈与の方法
生前贈与は、遺産相続の前に贈与を行うことで、相続人の負担を減らす一つの方法ですが、法律や税金に関する知識を持っていないとトラブルに巻き込まれる可能性もあります。まずは、預貯金を生前贈与する具体的な方法を見ていきましょう。
1-1. 贈与契約書を作成する
生前贈与を行う際には、まず贈与契約書を作成することが重要です。贈与契約書は、贈与を受ける側がその財産を受け取ることを証明するための書面で、贈与の意思がきちんと示されるため、法的に確実な証拠となります。
贈与契約書には、以下の内容を盛り込む必要があります。
- 贈与者と受贈者の氏名と住所
- 贈与する預貯金の金額
- 贈与の時期
- 贈与の条件(特定の用途に使う場合など)
書面で合意を交わすことで、贈与が正式に成立したことが証明でき、贈与後のトラブルを避けることができます。
1-2. 贈与の手続き
預貯金を生前贈与する場合、通常は銀行での手続きが必要です。贈与者(親など)が指定した銀行口座から、受贈者(子どもや孫など)の口座に金銭を移す方法です。以下の手順を踏むことになります。
- 贈与者と受贈者が一緒に銀行に行く
銀行口座から金銭を移す際、贈与者と受贈者が一緒に銀行に行き、手続きを行います。受贈者の口座が事前に開設されている必要があります。 - 必要書類の提出
銀行では、贈与を証明する書類として、贈与契約書や双方の本人確認書類を求められることがあります。また、贈与額が大きい場合、税務署に提出する書類を準備する必要があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。 - 口座間での振込
銀行窓口で手続きを行い、贈与者の口座から受贈者の口座に資金を移動させます。この際、銀行によっては特別な手数料がかかることがありますので、事前に確認しておきましょう。
1-3. 贈与税の支払い
生前贈与には贈与税が課税されます。贈与税は、贈与額が一定額を超えると課税されるため、税金が発生しないように工夫する必要があります。贈与税の計算方法については後述しますが、贈与税を適切に支払うための手続きも大切です。
贈与税の支払いは、受贈者が税務署に申告を行い、所定の税金を納める必要があります。
2. 生前贈与を行う際の注意点
生前贈与は相続税の軽減を図るために有効な手段ですが、注意すべき点もいくつかあります。以下に主な注意点を挙げてみましょう。
2-1. 贈与税の非課税枠を活用する
贈与税には、非課税枠(基礎控除)が設定されています。贈与を行う際、この非課税枠をうまく活用することで、税金を軽減することができます。基礎控除は以下の通りです。
- 1年間に110万円まで
1人に対して、1年間で贈与する金額が110万円までは、贈与税がかかりません。これを利用して、毎年少額ずつ贈与することで、贈与税の負担を避けることができます。
ただし、贈与税を回避するために高額な金額を、毎年110万円ずつ贈与すると、最初から高額な金額を贈与する計画があったと判断されて、高額な金額に課税されることがありますのでご注意ください。
2-2. 贈与税の税率
贈与税の税率は、贈与額が多ければ多いほど高くなります。贈与税の税率は、累進課税制度を採用しており、贈与額が増えると税率も上昇します。具体的な税率は以下の通りです(2024年現在)
贈与額(税込) | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~200万円 | 10% | 0円 |
200万円~300万円 | 15% | 10,000円 |
300万円~400万円 | 20% | 25,000円 |
400万円~600万円 | 30% | 65,000円 |
600万円~1,000万円 | 40% | 125,000円 |
1,000万円~1,500万円 | 45% | 175,000円 |
1,500万円~3,000万円 | 50% | 225,000円 |
3,000万円以上 | 55% | 400,000円 |
例えば、1000万円を贈与した場合、贈与税の税率は40%に該当し、税額は「1,000万円×40%-125,000円」で、375万円の贈与税がかかります。
したがって、高額な贈与を行う場合は、税金が非常に高くなるため、慎重に検討する必要があります。
2-3. 贈与税の申告と納付
贈与税は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに税務署に申告し、納付する必要があります。税務署に対して贈与税の申告書を提出し、必要な税金を納めることが求められます。
- 贈与税申告書の提出方法
申告書は、最寄りの税務署またはオンラインで提出することができます。申告書には、贈与者と受贈者の情報や、贈与された財産の詳細、贈与契約書などの添付書類が必要です。 - 納付期限の厳守
贈与税は申告納付期限を過ぎると延滞税がかかるため、期限内に納付するようにしましょう。期限を守らないと、税金が増額されるだけでなく、ペナルティが課されることもあります。
2-4. 相続時精算課税制度を利用する
相続時精算課税制度は、相続人に対して一定額まで贈与税の負担を軽減する制度です。この制度を利用することで、110万円の基礎控除を超える贈与に対しても、相続時に一度精算する形で税金を支払うことができます。適用要件は以下の通りです。
- 20歳以上の子どもまたは孫が対象
- 贈与の合計額が2,500万円まで非課税
この制度を利用する場合、税制上のメリットがありますが、相続時にその分の税金を支払う必要があるため、慎重に検討することが大切です。
3. まとめ
預貯金の生前贈与は、相続税を軽減するための効果的な手段ですが、適切に行わなければ贈与税が発生するため、慎重に計画することが必要です。
贈与契約書を作成し、税制の非課税枠を活用することで、贈与税を抑えることができますが、高額の贈与には税金がかかるため、その点も十分に注意しましょう。
また、相続時精算課税制度を活用することも一つの選択肢ですが、事前に税理士や専門家に相談して、適切な方法を選ぶことが重要です。
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