遺言でできること・できないこと|民法から分かりやすく解説

目次

はじめに

遺言というと、

  • 「財産を誰に残すかを決めるもの」
  • 「相続トラブルを防ぐもの」

というイメージを持つ方が多いと思います。

しかし実際には、遺言には法律上できることとできないことが明確に定められています。

遺言は単なる意思表示ではなく、民法および関連法令によって効力が認められる法律行為です。

つまり、

  • 法律で認められた内容でなければ効力は生じない
  • 法律上の根拠がある事項のみが遺言で決められる

という特徴があります。

この記事では、民法や関係法令をもとに、

  • 遺言でできること
  • 遺言で決められる具体的事項
  • 遺言では決められないこと

について分かりやすく解説します。

遺言でできること① 法定相続に関する事項

まず、遺言で最も重要な役割は法定相続の内容を変更することです。

民法では、相続人や相続分などが定められていますが、遺言によって次のような指定をすることができます。

推定相続人の廃除(民法892条)

被相続人に対して

  • 虐待
  • 重大な侮辱
  • 著しい非行

などがあった場合、家庭裁判所の手続きを経て相続人の資格を失わせることができます。

これを「推定相続人の廃除」といいます。

また、遺言によって廃除の請求をする意思表示をすることも可能です。

推定相続人の廃除の取消

一度廃除をした相続人についても、事情の変化などにより、遺言で廃除を取り消すことができます。

相続分の指定(民法902条)

通常、相続分は民法で定められています。

例:配偶者+子 → 配偶者1/2、子1/2

しかし、遺言によって

  • 長男に多く相続させる
  • 特定の相続人に財産を集中させる

などの相続分の指定が可能です。

遺産分割方法の指定(民法908条)

遺言では

  • 不動産は長男
  • 預貯金は配偶者

といったように遺産分割の方法を指定することができます。

また、遺産分割を一定期間禁止することも可能です。

遺産分割時の担保責任の定め

相続財産の分割において担保責任について特別な定めをすることもできます。

遺言でできること② 財産処分

遺言の大きな役割は財産を誰に渡すかを決めることです。

これを法律用語では「遺贈」といいます。

包括遺贈・特定遺贈(民法964条)

遺贈には大きく2種類あります。

包括遺贈

財産の割合で指定する方法

例:「全財産の2分の1をAに遺贈する」

特定遺贈

特定の財産を指定する方法

例:「自宅不動産を長男に遺贈する」

遺贈に関する細かな定め

民法では遺贈に関して様々な事項が規定されています。

例えば

  • 受遺者が遺言効力発生前に死亡した場合(民994条)
  • 遺贈財産の果実取得(民992条)
  • 遺贈が無効となった場合の財産帰属(民995条)

などです。

また、負担付遺贈という形で、「財産を渡す代わりに一定の義務を課す」ことも可能です。

遺言でできること③ 遺言の執行・撤回

遺言では、遺言の内容を実現するための手続きについても定めることができます。

遺言執行者の指定(民法1006条)

遺言の内容を実際に実行する人を遺言執行者といいます。

遺言では

  • 特定の人を遺言執行者に指定する
  • 複数人を指定する

ことが可能です。

遺言執行者の権限

遺言では、

  • 特定財産の執行方法
  • 復任権
  • 報酬

などについて定めることもできます。

遺言の撤回(民法1022条)

遺言は、

  • 新しい遺言を作成する
  • 内容と矛盾する行為をする

などによって撤回することが可能です。

遺言でできること④ 遺留分に関する事項

遺留分とは、相続人に最低限保障される取り分のことです。

民法1047条では、遺留分侵害額請求の際の金銭による支払い方法などについて遺言で定めることができるとされています。

遺言でできること⑤ 家族関係に関する事項

遺言は、財産だけでなく家族関係に関する事項についても効力を持つ場合があります。

認知(民法781条)

婚姻関係にない子どもについて、遺言によって認知をすることができます。

未成年後見人の指定(民法839条)

親権者が死亡した場合に備え、未成年の子どもについて未成年後見人を指定することができます。

未成年後見監督人の指定

未成年後見人を監督する未成年後見監督人を指定することも可能です。

遺言によってできると解釈されている事項

民法に明確な規定はありませんが、実務上、遺言で可能とされている事項もあります。

祭祀主宰者の指定(民法897条)

先祖の祭祀(お墓・仏壇など)を承継する人を指定することができます。

特別受益の持戻し免除(民法903条)

生前贈与について「相続計算に含めない」とすることも可能です。

民法以外の法律で認められている遺言事項

遺言の効力は民法だけではありません。

他の法律でも遺言が認められています。

一般財団法人の設立

遺言によって一般財団法人を設立することができます。

信託の設定

遺言信託として財産管理の仕組みを作ることも可能です。

保険金受取人の変更

生命保険契約では遺言によって受取人変更ができる場合があります。

遺言でできないこと

一方で、遺言には限界もあります。

例えば

  • 法律に反する内容
  • 公序良俗に反する内容
  • 相続人の人格を制限する内容

などは効力を持ちません。

また、

  • 相続人同士の感情的な問題
  • 家族関係そのもの

を完全に解決することは難しい場合もあります。

まとめ

遺言には、

  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 財産の遺贈
  • 遺言執行者の指定
  • 認知
  • 未成年後見人の指定

など、法律上さまざまな効力が認められています。

しかし、遺言の内容は民法や関係法令に基づいて作成する必要があります。

そのため、遺言を作成する際には

  • 相続人の確認
  • 財産の整理
  • 法律的な効力

を踏まえて作成することが重要です。

遺言作成サポートのご案内

ここまでご覧いただいたように、遺言では

  • 相続分の指定
  • 遺産分割方法の指定
  • 財産の遺贈
  • 遺言執行者の指定
  • 未成年後見人の指定

など、法律に基づいてさまざまなことを定めることができます。

しかし実際には、

  • 自分のケースでは何が遺言でできるのか分からない
  • 遺留分など法律上の制限が気になる
  • 将来の相続トラブルを避けたい

といった理由から、どのような遺言を書けばよいか悩まれる方も多くいらっしゃいます。

行政書士74事務所では、

  • 相続人関係の整理
  • 財産内容の確認
  • 法律に基づいた遺言内容の設計
  • 公正証書遺言作成のサポート

など、将来の相続を見据えた遺言作成サポートを行っています。

「遺言を作成しておいた方がよいかもしれない」
そう感じた今が、準備を始める良いタイミングです。

ご自身やご家族の将来の安心のために、遺言作成について一度検討してみませんか。

▶︎ 遺言書サポートの詳細はこちら

目次