【相続手続き】北九州 相続人に子供がいる場合の遺産分割の考え方

パートナーが亡くなり、1人で子供を育てていく決意をしたあなた。

『私は住む場所があればいいから預金は子供に相続させたい。』
『子供が不自由しないように子供に財産を承継させたい。』
『将来の為に子供に全ての財産を承継させたい。』

パートナーが亡くなり1人で子供を育てていく事に不安を感じる中、子供の為に何かできないかと考えることはすごい事だと思います。

比べる対象にはなりませんが、学生時代1人暮らしをしていた私も自分の生活だけでも必死だったのに、子供に食べさせ自身も生活をしていくという事を考えると頭が下がります。

今回は普段行政書士として相続手続きをしている私が、『法律的観点を踏まえた相続人に子供がいる場合の口座の払戻し』について解説していきたいと思います。

本記事を見れば、相続人に子供がいる場合の口座の払戻しについて知る事ができるでしょう。

逆に払戻しができるポイントを知らなければ困った事になるかも…

ぜひ、最後まで記事を読んでみてくださいね。相続人に子供がいる場合の預金の払戻しはケースバイケース

相続人に子供がいる場合の預貯金の払戻しができるかの答えは、できる場合できない場合があります。

これはどういう事かというと、例えば被相続人Aの相続人には配偶者B・子(未成年者)C・Dの3人がいたとします。

配偶者Bは相続財産である預貯金を全額、子C・Dに承継させたいと思っています。

この場合未成年者である子C・Dに払戻しをすることができるのかというのが問題になります。

親権者の管理処分権限

民法には『財産の管理及び代表』という条文があります。

民法第824条

親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

民法824条-Wikibooks

上記条文からわかるように親権者は未成年の子の財産について、管理処分権限を有しています。

この親権者による財産処分権は、未成年の子は自分の財産を管理する十分な判断能力がないので、子の利益のために親権者に子の財産を管理させる趣旨で認められています。

利益相反行為

民法826条には、こんな条文があります。

民法826条1項

  1. 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
民法826条1項-Wikibooks

上記条文では『利益相反行為』についての記載がされています。

利益相反行為とは、当事者間の行為が一方の立場では利益になるものの他の立場では不利益となることです。

例えば、今回の事例でいうと親権者であるB・子C・Dの間でおこなう遺産分割協議は親権者Bと子Cの利益が相反する行為になりますので、親権者であるBは子Cのために特別代理人の選任を家庭裁判所に対して申請しなければなりません。

要するに親は自由に相続財産を自分の物にすることができるため、親権者として子の財産管理人になることはできないということです。

しかし、遺産分割前におこなう払戻しは子CやDの預金をCやDのために管理する行為であるので、利益相反行為には該当せず、親権者であるBは子CとDの代理人(財産管理人)としての立場で被相続人の預貯金の払戻しをすることができるということになります。

目次

相続人に子供がいる場合の遺産分割協議

遺産分割前による払戻しでは、財産管理人としての立場であるので利益相反にあたらず払戻しができました。

それでは遺産分割協議はどうでしょう。

答えは、利益相反行為になるためできないです。

遺産分割前の払戻しでも解説しましたが、この場合は利益相反行為にあたるため、未成年者のために家庭裁判所により選任された特別代理人が未成年者の代理人として遺産分割協議に参加します。

また、利益相反の関係というのは民法826条2項に以下のように記載されています。

民法826条2項

  1. 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
民法826条2項-Wikibooks

上記の通り、親権者と子だけでなく親権に服する一方の子と他方の子にも生じるので、子1人につき1人の特別代理人が必要となります。

今回の場合は子CとDの特別代理人は特別代理人EとFの2人必要ということです。

したがって、今回の遺産分割協議をする場合に遺産分割協議に参加する人物は、配偶者B、子Cの特別代理人E、子Dの特別代理人Fの3人となります。

相続人に未成年の子がいる場合の預金払戻しの必要書類

  • 被相続人の出生から死亡するまでの戸籍謄本等(除籍謄本・改正原戸籍・戸籍謄本)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員と特別代理人の印鑑登録証明書
  • 特別代理人選任の審判書謄本および確定証明書
  • 相続届(銀行所定の様式)

まとめ

今回は相続人に子供がいる場合の預貯金の払戻しについて解説してまいりました。

遺産分割前と遺産分割協議で財産の管理にあたるのか利益相反行為にあたるかに分かれるということに注意ください。

どうしても払戻しを急ぐのであれば、遺産分割前に預貯金の仮払い制度を利用し預金を引き出す、そうでないなら特別代理人を選任して遺産分割協議をしてから子供に承継させるとよいでしょう。

遺産分割前であれば払戻しはできますが、銀行側としてはきちんとした証明がほしいと思っています。

遺産分割協議書を求められることもありますので、遺産分割前に払戻しをしようと思っていても結果的に遺産分割協議をしなくてはならない可能性もあります。

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