財産が預貯金のみの場合の遺言書の作成方法
相続において、財産が預貯金のみの場合、遺言書を作成することで相続人に対する配分や管理方法を明確にすることができます。しかし、預貯金の相続は一見シンプルに思えますが、実際には相続人間での争いを避けたり、手続きをスムーズに進めたりするためには適切な遺言書の作成が欠かせません。本記事では、財産が預貯金のみの場合に焦点を当て、遺言書の作成方法について詳しく解説します。
1. 遺言書の重要性
預貯金だけを遺産として残す場合でも、遺言書の作成は非常に重要です。なぜなら、遺言書がない場合、遺産は法定相続分に従って分配されるため、相続人の間でトラブルが生じる可能性があります。
また、預貯金の口座名義人が死亡した後、金融機関に対して相続手続きを行わなければならないため、事前に相続方法を明確にしておくことが望ましいです。
遺言書を作成する理由
- 相続人の明確化: どの相続人がどれだけの割合で遺産を受け取るのかを決めることができます。
- 遺産分割協議を避ける: 遺言書があれば、相続人間で遺産分割協議を行う必要がなくなります。
- トラブル回避: 遺言書に基づいて遺産が分けられるため、相続人同士での争いを防ぐことができます。
- 遺言執行者の指定: 相続人ではなく第三者を遺言執行者として指定することができ、手続きを円滑に進めることができます。
遺言執行社については、【遺言執行者の権利・義務を分かりやすく解説】の記事をご覧ください。
2. 預貯金の相続の特徴
預貯金は、銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などの金融機関に預けられたお金のことを指します。預貯金の相続においては、他の財産(不動産や株式など)とは異なり、物理的な財産が存在しないため、比較的手続きが簡単だと考えられがちですが、注意点もあります。
預貯金相続のポイント
- 相続手続きが必要: 口座名義人が死亡した場合、相続人は金融機関に対して所定の手続きを行う必要があります。
- 法定相続分に従う: 遺言書がない場合、預貯金は法定相続分に従って分割されます。
- 金融機関への通知: 銀行等の金融機関には、死亡届や相続人であることを証明する書類を提出しなければなりません。
- 相続税の対象: 預貯金が一定額を超える場合、相続税の申告が必要になります。
これらを踏まえて、遺言書を作成しておくことで、相続人の意図を正確に反映させ、スムーズに手続きを進めることができます。
3. 遺言書の作成方法
遺言書の作成方法にはいくつかの種類がありますが、預貯金のみの相続を扱う場合、以下の方法が一般的です。
3.1 自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が自分で手書きで作成する遺言書です。特に費用がかからず、手軽に作成できるため、最も利用されている方法です。しかし、法律的に正しい形式で作成しないと無効になることがあるため、注意が必要です。
自筆証書遺言のポイント
- 自筆で記述: 遺言書全文を自分の手で書きます。パソコンで作成した場合、無効になります。
- 署名・押印: 遺言者の署名と実印を押すことが必要です。
- 日付: 遺言書の作成日も記載しなければなりません。
- 内容: 預貯金に関する相続分割の内容や、相続人、遺産分割方法などを具体的に記載します。
自筆証書遺言は、簡単に遺言書を作成できますが、紛失や改ざんされるリスクもあります。そのため、安全に保管できる場所を確保することが大切です。また、家庭裁判所での検認手続きが必要です。
3.2 公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人役場で公証人が立会い、遺言内容を作成する方法です。この遺言書は、形式が厳格で、法的に非常に信頼性が高いため、相続トラブルを避けるために有効な手段です。
公正証書遺言のポイント
- 公証人に依頼: 公証人役場に出向き、遺言の内容を口頭で伝え、公証人に作成してもらいます。
- 証人2名の立会い: 公正証書遺言は証人2名の立会いが必要です。証人は相続人でない第三者でなければなりません。
- 公正証書の保管: 公正証書遺言は公証人役場に保管され、原本が安全に管理されます。
公正証書遺言は、遺言者が亡くなった後に家庭裁判所の検認手続きが不要で、相続人にとっても非常に安心です。しかし、公証人に依頼する手間や費用(数万円程度)がかかる点がデメリットと言えるでしょう。
3.3 秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言内容を秘密にしておき、封印した状態で公証人に提出して作成する方法です。この方法は、自筆証書遺言と公正証書遺言の中間に位置する方式です。
秘密証書遺言のポイント
- 遺言書の内容は秘密: 遺言者は内容を秘密にしておき、封印した状態で公証人に提出します。
- 証人が必要: 2名以上の証人が必要です。証人は相続人でない第三者でなければなりません。
- 公証人の立会い: 公証人がその内容が秘密であることを確認します。
秘密証書遺言は、内容を他人に知られたくない場合に有効ですが、作成や証人を立てる手間がかかる点がデメリットです。また、遺言の真偽が疑われた場合には、証拠を示すことが困難です。
4. 遺言書に記載すべき内容
預貯金の遺産相続に関する遺言書を作成する際には、以下の内容を具体的に記載することが重要です。
4.1 相続人の明確な記載
遺言書には、相続人の名前や続柄を記載し、誰に何を相続させるのかを明確にします。預貯金の口座に関する指示も、この部分で具体的に記述します。
4.2 預貯金の分割方法
具体的にどの口座の預貯金を誰に渡すのか、また、その割合を明確に記載します。例えば、「○○銀行の預金を妻○○に全額相続させる」といった形です。
4.3 遺言執行者の指定
遺言執行者を指定しておくと、相続手続きがスムーズに進みます。預貯金の相続手続きにおいても、遺言執行者に手続きを委任することができます。
5. 遺言書作成後の保管方法
遺言書を作成した後は、安全に保管することが大切です。自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要ですが、公正証書遺言の場合は、公証人役場に保管されます。
遺言書の保管方法
- 自宅に保管する場合::遺言書を信頼できる場所(金庫や信託倉庫など)に保管する。
- 公証人役場に保管::公正証書遺言は、公証人役場で安全に保管されるため、紛失の心配がありません。
- 法務局に保管:自筆証書遺言の場合は遺言書保管制度を利用することにより法務局に保管することができます。
遺言書保管制度については、【遺言書保管制度を利用してきました】の記事をご覧ください。
6. まとめ
財産が預貯金のみであっても、遺言書を作成しておくことで、相続人間での争いを避け、手続きをスムーズに進めることができます。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれかを選択し、遺言書に具体的な指示を記載することが重要です。また、遺言書を作成した後は、安全に保管することを忘れないようにしましょう。
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