はじめに
日本で「技能や知識を学びたい」という外国人の方へ。
もし、給料をもらって働く目的ではなく、母国では習えないような技術や知識を日本で学びたいという場合、「研修」という在留資格を使うことができます。
この記事では、日本で「研修」するために必要な条件や書類、申請の手順を、外国人の方にも分かりやすく説明します。
1. 在留資格「研修」とは?
1-1. 対象となる活動
「研修」は、外国人が日本の会社・団体などで、実際の作業を通じて、技術・知識・技能などを学ぶことを目的とした在留資格です。
在留期間の最長は、2年、1年、6月又は3月が認められます。
1-2. 対象者
在留資格「研修」を申請できるのは、企業などの研修者です。例えば、下記のような人が該当します。
- 母国で現在技術や知識を学んでいる学生や
- すでに母国で関連分野の仕事をしている人 で
- 日本での研修がその分野のスキルアップにつながる人
2. 基準要件(上陸許可基準)
日本での「研修」を目的として在留資格を申請するには、法務省が定める「上陸許可基準」に適合していることが必要です。
これは、ただ書類をそろえるだけではなく、「その研修が本当に日本で行うべき内容なのか」「本人や会社に適切性があるか」など、制度の趣旨に沿っているかどうかを審査する基準です。
▶ 上陸許可基準とは?
上陸許可基準とは、入管法第7条第1項第2号に基づいて、法務省令で定められている在留資格ごとの審査基準のことです。
在留資格「研修」における主な上陸許可基準は、以下のような内容です。
【要件1】単純作業だけの繰り返しではないこと
研修内容が「同じ作業の繰り返し(例:清掃や包装など)」だけで終わるものでなく、技術や知識を段階的に学べる内容であることが必要です。
【要件2】申請者が18歳以上で、帰国後に学んだ技能を使う予定があること
研修を受ける人(申請人)が
- 18歳以上であること
- 帰国後に、日本で学んだ技能を活かした仕事に就く予定であること
が条件です。
【要件3】母国でその技能を学ぶのが難しいこと
申請人の住む地域では、今回学ぼうとしている技能が簡単には学べない(不可能または困難)ことが必要です。
【要件4】経験豊富な職員による指導であること
研修は、日本の受入機関の常勤職員で、その技能について5年以上の経験がある人の指導のもとで行う必要があります。
【要件5】実務研修を含む場合、特別なケースであること
研修に「実際の仕事を通じて学ぶ実務研修」が含まれる場合は、以下のいずれかの特別なケースに当てはまる必要があります。
主な対象となる機関やケース
- 日本の国・地方公共団体・独立行政法人の実施する研修
- 国際協力機構(JICA)などが行う研修
- 外国政府職員や、その指名による研修
- その他、受入機関が以下の条件すべてを満たす場合
▼ 以下の(1)〜(5)をすべて満たすこと
- 研修生用の宿泊施設を用意している
- 研修生用の研修施設を確保している
- 研修生の生活指導をする職員がいる
- 研修生の事故や病気に備えて、保険などの保障措置をとっている
- 研修施設が労働安全衛生法の基準に準じた安全管理をしている
【要件6】帰国旅費などの保証がされていること
研修が終わった後に本人がきちんと帰国できるように、旅費などの手配・担保があることが必要です。
【要件7】研修の記録を保存すること
研修の様子について、受入機関は文書で記録を残し、研修実施場所に保管し、終了から1年以上保存する必要があります。
【要件8】実務研修の時間が全体の3分の2以下であること(原則)
実務研修(仕事をしながら学ぶ研修)がある場合、その時間は全体の3分の2以下におさめなければなりません。
ただし、以下のような条件を満たせば、4分の3または5分の4まで許される特例があります。
例外が認められる条件
- 日本での実務研修が4か月以上ある場合
- 日本に来る前に、海外で160時間以上の準備研修(座学)がある場合
3. 在留資格 申請手順
在留資格「研修」の申請は、申請する人が日本にいるかどうかで手続きが少し違います。
日本にいる人(在留資格の更新)
すでに日本にいる人(例えば「留学ビザ」や「特定技能」などを持っている人)は、「在留期間更新許可申請」を行います。
【更新許可申請の手順】
必要書類は後述します。
住居地を管轄する地方出入国在留管理局に申請します。
許可の場合、古い在留カードと引き換えに新しい在留カードが交付されます。
日本の外にいる人(新しく入国する人)
日本の外にいて研修ビザで入国したい人は、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。
【認定証明書交付申請の手順】
受入機関が、申請書類の準備をして、所在地を管轄する地方出入国在留管理局に申請します。
受入機関から「在留資格認定証明書」を郵送やメールで受取ります。
②の「在留資格認定証明書」を持って、最寄りの日本大使館で査証を受けます。
査証を受けてから3ヶ月以内に入国する必要があります。
4. 「研修」必要書類一覧
今回は、出入国在留管理庁の公式サイトをもとに、代表的な必要書類をご紹介します。申請区分ごとに必要な主な書類を準備します。
在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- 返信用封筒
- 研修の内容、必要性、実施場所、期間及び待遇を明らかにする文書
- 帰国後本邦において修得した技能等を要する業務に従事することを証する文書
- 申請人の職歴を証する文書
- 研修指導員の当該研修において修得しようとする技能等に係る職歴を証する文書
- 送出し機関(準備機関)の概要を明らかにする資料
- 受入れ機関の登記事項証明書、損益計算書の写し
- あっせん機関がある場合は、その概要を明らかにする資料
- 申請人の国籍又は住所を有する国において所属する機関の業務の一環として派遣されるものであることを証する文書(診療用粒子線照射装置臨床修練外国医師等に関する申請の場合)
在留期間更新許可申請
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート及び在留カード 【提示】
- 研修の内容、必要性、実施場所、期間及び待遇を明らかにする文書
- 研修の進ちょく状況を明らかにする文書
※詳細な必要書類については、出入国在留管理庁の公式ウェブサイトをご確認ください。
5. 審査と結果
入国管理局が提出書類をもとに審査を行い、問題がなければ「在留資格認定証明書」が発行されます。これには通常1〜3か月程度かかります。
7. 在外日本大使館でビザ申請
「在留資格認定証明書」を受け取ったら、それを母国にある日本大使館または総領事館に提出し、「査証(ビザ)」の申請をします。
8. 日本入国後の流れ
ビザが発行されたら、日本に入国します。入国時には空港で「在留カード」が交付されます。
日本での研修がスタートした後も、下記の点に注意してください。
- 研修計画どおりに実施されているか入管がチェックします。
- 計画外の業務(労働)をすると、資格外活動とみなされ違反になります。
- 転職や職場変更は基本できません。
9. よくある質問
- 「技能実習」と「研修」はどう違う?
-
研修」はあくまでスキル習得が目的で、労働の対価としての報酬はありません。
一方、「技能実習」は日本で働きながら技術を身につけ、給与ももらいます。
- 「研修」でアルバイトはできますか?
-
できません。在留資格「研修」は労働を目的としていないため、アルバイトは禁止されています。
まとめ
在留資格「研修」は、労働はできず、外国人が日本で技術や知識を学び、母国で役立てるための制度です。
- 研修の目的・内容が明確であること
- 研修先がしっかり支援体制を整えていること
- 本人がきちんと準備できていること
これらがポイントです。
準備すべき書類が多く、手続きが複雑に見えるかもしれませんが、日本の会社とよく連携しながら進めれば、スムーズに申請できます。
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審査期間は1〜3ヶ月が目安です。
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許可となりましたら、当職が地方出入国在留管理局の窓口に在留カードの受取りに行きます。
この時点から、新しい活動内容での在留となりますので、従前の在留資格では活動できません。
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