はじめに
「全部、事実婚の相手に渡す…?」
遺言書を見た瞬間、言葉が止まる。
実際、こういうご相談はあります。
被相続人は夫。
相続人は妻と長男、次男。
ただ、夫は家族と別居していて、事実婚の相手がいた。
そして遺言には、
「全財産を事実婚の相手に遺贈する」
と書かれていた。
この時、多くの方が思うんですよね。
「こんなの納得できない」
「もう何も相続できないのか」
かなり精神的にきます。
特に、感情の整理が追いつかない状態で、この内容を見ると。
ただ、法律上は“完全に何もできない”わけではありません。
今日は、このケースで重要になる「遺留分侵害請求」について、実務目線でお話しします。
結論
法定相続人以外にすべての財産を渡す遺言があっても、
法定相続人には「遺留分」を請求できる可能性があります。
つまり、
「遺言がある=完全に終わり」ではない。
ただし、ここでかなり重要なのが“期限”。
- 遺留分を侵害されたことを知ってから1年
- 相続開始から10年
この期間を過ぎると請求が難しくなる。
個人的には、この問題は“感情”より先に“期限”を意識した方がいいケースだと思っています。
「遺言があるから絶対」ではない
相続では、遺言の効力はかなり強いです。
実際、法定相続人以外に財産を渡すことも可能。
つまり、事実婚相手への遺贈も成立し得る。
ここを知らない方、意外と多いです。
「法律上の妻と子どもがいるのに?」
と思われるかもしれません。
ただ、遺言自体は有効になる可能性がある。
ここがまずショックなんですよね。
ただし「遺留分」は別の話
ここで出てくるのが遺留分。
簡単に言うと、
“最低限保障される取り分”。
配偶者や子どもには、この権利があります。
つまり、
「すべてを第三者へ」という遺言があっても、一定割合は請求できる可能性がある。
ここが重要。
事実婚相手にも財産は渡せる
ここ、感情的にかなり難しい部分です。
法律婚ではない。
でも長年一緒に生活していた。
被相続人としては、
「支えてくれた人に残したい」という気持ちだったのかもしれない。
その気持ち自体は理解できる。
ただ一方で、法律上の家族からすると、納得しきれない部分もある。
このケース、感情がかなり複雑になります。
北九州でも実際にある「別居+事実婚」
北九州でも、こういうケースは珍しくありません。
長年別居している。
ただ離婚はしていない。
その間に、別のパートナーと生活している。
そして亡くなった後、遺言が見つかる。
ここで初めて家族側が状況を知る。
かなり精神的に負担が大きいケースです。
遺留分侵害請求とは
このケースで重要になるのが、遺留分侵害請求。
民法1046条の考え方です。
簡単に言うと、
「遺留分を侵害されているので、その分を支払ってください」という請求。
現在は、原則“金銭請求”になります。
つまり、不動産そのものを取り返すというより、
金額で調整するイメージ。
遺留分の詳細は下記記事をご覧ください。
「納得できない」と「法的に争える」は別
ここ、かなり重要です。
感情として納得できない。
これは当然。
ただ、法的にどこまで請求できるかは別問題。
遺留分の範囲を超えては請求できない。
つまり、「全部取り戻す」は難しいケースもある。
ここを冷静に整理する必要があるんですね。
一番注意したいのは期限
そして、この問題で本当に重要なのが期限。
遺留分侵害請求は、
「侵害されたことを知った時から1年」で時効。
さらに、相続開始から10年を過ぎても難しくなる。
つまり、悩んでいる間に権利が消える可能性がある。
ここ、本当に注意です。
感情の整理をしている間に時間が過ぎる
このケース、実際かなり精神的にきます。
「どうして?」
「なぜ家族ではなく…」
そう考えているうちに時間が過ぎる。
ただ、法律上は待ってくれない。
だからこそ、
感情の整理と手続きの整理を分けて考える必要がある。
個人的には、この相続はそこが一番難しいと思っています。
遺留分請求をする際の実務上のポイント
実際に請求する場合は、
まず財産内容を把握する必要があります。
どんな財産があるのか。
どのくらい侵害されているのか。
ここが分からないと動けない。
つまり、相続人調査・財産調査も重要になる。
「遺言があるから終わり」ではない
遺言が出てくると、多くの方が諦めてしまいます。
でも、法定相続人には一定の保護がある。
ここを知らないまま動かない。
これが一番もったいない。
まとめ
法定相続人以外に財産を渡す遺言。
特に、事実婚相手への全財産遺贈。
感情的に納得できないケースも多いと思います。
ただ、法律上は遺留分という権利がある。
そして重要なのが期限。
- 知ってから1年
- 相続開始から10年
ここを過ぎると、請求が難しくなる。
個人的には、このケースは
「感情が動くからこそ、早めに整理が必要な相続」だと思っています。
北九州で遺言・遺留分にお悩みの方へ
「遺言を見たけど、どう動けばいいか分からない」
実際、この状態からご相談に来られる方はかなり多いです。
特に、事実婚や別居が絡む相続は、感情と法律が複雑に重なりやすい。
行政書士74事務所では、北九州市・下関市を中心に、
相続人調査や財産調査、遺留分問題に関する整理サポートを行っています。
いきなり争う必要はありません。
ただ、期限がある以上、早めに状況を把握しておくことはかなり重要です。
少しでも引っかかる部分があるなら、そのタイミングで。
個人的には、その確認が一番大事だと思っています。



