被相続人に内縁の配偶者がいる場合どうなる?相続権の有無と対処法

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はじめに|「長年一緒に暮らしていたのに相続できない?」

近年、法律婚をしていない“内縁関係”の夫婦は珍しくありません。

しかし、相続が発生したとき、

「長年連れ添ってきたのに、相続できないのですか?」

というご相談を受けることがあります。

結論から言うと、内縁の配偶者には原則として法定相続権はありません。

ここに、大きな誤解とトラブルの種があります。

この記事では、

  • 内縁配偶者の法的立場
  • 相続が発生したときに起こる問題
  • 自宅に住み続けている場合のリスク
  • 現実的な対処法

を整理します。

内縁配偶者に相続権はあるのか?

民法では、法定相続人は

  • 配偶者(法律婚)
  • 直系尊属
  • 兄弟姉妹

と定められています。(民法890条887条等)

ここでいう「配偶者」は、法律上の婚姻関係にある者を指します。

したがって、内縁配偶者は法定相続人にはなりません。

たとえ何十年同居していても、戸籍上の婚姻がなければ相続権はないのです。

よくあるトラブル①|自宅に住み続けている場合

最も多いのが、

  • 被相続人名義の自宅に内縁配偶者が住み続けているケースです。

しかし、法的にはその不動産は法定相続人の共有財産になります。

相続人(子など)が

  • 明渡し請求
  • 売却要求

をすれば、内縁配偶者は弱い立場になります。

長年住んでいたからといって、自動的に所有権は得られません。

よくあるトラブル②|預金の引き出し

内縁配偶者が生活費として口座を管理していた場合、

死亡後に口座を引き出すと

  • 不当利得
  • 使途不明金

として問題になる可能性があります。

たとえ生活を共にしていても、法律上は別人格です。

内縁配偶者を守る方法はあるのか?

① 遺言書

最も確実なのは遺言です。

遺言で「内縁の妻○○に自宅を相続させる」と記載すれば、財産を承継できます。

ただし、兄弟姉妹以外の法定相続人がいる場合は遺留分民法1042条)が問題になります。

完全に排除はできません。

② 死因贈与契約

死因贈与契約とは、「亡くなったときにこの財産を渡す」と生前に契約しておく方法です。遺言と違い、当事者双方の合意で成立します。

内縁配偶者に自宅などを残したい場合に有効ですが、遺留分の問題や相続人との対立が生じる可能性があります。そのため、

  • 対象財産を明確に特定する
  • 契約内容を文書化する(可能なら公正証書)
  • 登記や手続きの段取りまで設計する

といった“証拠と実行性の確保”が重要です。

契約書があるだけで安心するのではなく、実際に実現できる形で整えることがポイントになります。

③ 特別縁故者の制度

相続人がいない場合に限り、家庭裁判所の審判で財産の分与を受けられる制度があります(民法958条の2

しかし、

  • 相続人がいないこと
  • 特別な関係があること

が必要です。子がいる場合などは使えません。

相続人側の立場も理解する

相続人から見れば、

  • 法律上の配偶者ではない
  • 相続権がない

という事実があります。

しかし一方で、

  • 長年生活を共にしてきた
  • 介護を担っていた

という事情もあります。感情と法律が衝突しやすい場面です。

放置が最も危険

内縁配偶者が住み続けているからといって、何も整理しないままにすると、

  • 共有状態の固定化
  • 次の相続でさらに複雑化
  • 感情対立の激化

につながります。

早期に

  • 権利関係の整理
  • 協議の実施
  • 書面化

をすることが重要です。

現実的な解決策

① 協議による分与

相続人全員が合意すれば、内縁配偶者に財産を渡すことは可能です。

これは“相続”ではなく、相続人からの贈与という形になります。

② 使用貸借の整理

すぐに所有権を移せない場合、

  • 無償で住み続ける合意
  • 期限の設定

などを書面化するだけでもトラブル防止になります。

まとめ|内縁配偶者には自動的な権利はない

  • 内縁配偶者に法定相続権はない
  • 遺言がないと原則取得できない
  • 自宅問題が最大の争点になりやすい
  • 早期整理が重要

法律上の扱いと、生活実態とのギャップが最も大きいテーマです。

だからこそ、感情ではなく、設計で進める必要があります。

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