銀行が嫌がる遺言書の特徴とは?北九州の行政書士が相続手続きで止まりやすいポイントを解説

目次

はじめに

「遺言書さえあれば、銀行の相続手続きはスムーズに進む」
そのように思われている方は少なくありません。

たしかに、遺言書は相続手続きを整理するうえで非常に有効です。

誰にどの財産を渡すのかをあらかじめ決めておくことで、相続人同士の話し合いを減らし、争いを防ぎ、手続きを進めやすくする効果があります。

しかし、実務では“遺言書があるのに銀行で止まる”というケースが実際にあります。

その理由の一つが、銀行から見て扱いづらい遺言書になっていることです。

銀行は相続の当事者ではありません。銀行が重視するのは、「その遺言書に従って払戻しや解約をして、本当に問題がないか」という点です。少しでも不明確な部分や形式的な不備、解釈の余地がある記載があると、銀行としては簡単には動けません。

この記事では、北九州で相続手続きや遺言作成を検討されている方に向けて、銀行が嫌がる遺言書の特徴を詳しく解説します。

あわせて、なぜ銀行が慎重になるのか、どうすれば実務で通りやすい遺言書に近づけられるのかも分かりやすくお伝えします。

結論:銀行が嫌がるのは「解釈の余地がある遺言書」「確認に手間がかかる遺言書」

結論からいうと、銀行が嫌がる遺言書には共通点があります。
それは、銀行側で判断しにくい遺言書だということです。

銀行は、遺言書の良し悪しを感情で判断しているわけではありません。
問題なのは、次のような状態です。

  • 誰が何を取得するのかが明確でない
  • 形式的に有効か判断しづらい
  • 他の相続人とのトラブルが起きそう
  • 追加書類を大量に求めないと確認できない
  • 銀行担当者が内部決裁を通しにくい

つまり、銀行が嫌がる遺言書とは、相続手続きを簡略化するどころか、逆に確認事項を増やしてしまう遺言書です。

銀行が嫌がる遺言書の特徴① 内容があいまいで誰に何を渡すのか分からない

もっとも典型的なのが、記載内容が抽象的な遺言書です。

たとえば、次のような表現です。

  • 預金は長男に任せる
  • 財産は家族で仲良く分けること
  • 妻にできるだけ多く残す
  • 預貯金の一部を二男に与える

これらは一見すると意思が書かれているように見えますが、銀行実務では非常に扱いづらい内容です。

なぜなら、銀行が知りたいのは「気持ち」ではなく、具体的にどの財産を誰に帰属させるのかだからです。

「長男に任せる」と書かれていても、それが取得させる趣旨なのか、単なる管理のお願いなのか、代理権を与える意味なのか判断できません。「一部を与える」と書かれていても、その割合や金額が不明であれば、銀行は払戻しの処理ができません。

相続手続きでは、遺言書の文章が少しあいまいなだけでも、金融機関は独自判断を避けます。

その結果、相続人全員の同意書や追加説明資料を求められ、結局、遺言書があるのに手続きが簡単にならないということが起こります。

銀行が嫌がる遺言書の特徴② 財産の特定が不十分

遺言書には、対象となる財産をできる限り特定して書くことが重要です。ところが、銀行手続きで問題になりやすいのは、預金口座の記載があいまいなケースです。

たとえば、

  • ○○銀行の預金を妻に相続させる
  • 銀行預金は長女に渡す
  • 北九州の銀行にあるお金はすべて長男へ

このような書き方だと、対象となる金融機関や支店、口座の範囲が不明確になることがあります。

もちろん、口座番号まで絶対に必要というわけではありません。ですが、少なくとも

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 預金の種類
  • 可能なら口座番号

などが明確であれば、銀行側の確認はしやすくなります。

反対に、財産の特定が不十分だと、銀行は「この口座も含まれるのか」「定期預金は別か」「解約済みや名義変更済みの口座はどうか」などを慎重に見なければならず、処理が止まりやすくなります。

とくに北九州エリアでは、地方銀行、信用金庫、ゆうちょ銀行など複数の金融機関を利用している方も多く、遺言書の書き方が雑だと相続人側の確認負担も大きくなります。

銀行が嫌がる遺言書の特徴③ 自筆証書遺言で形式面に不安がある

銀行実務で特に慎重に見られるのが、自筆証書遺言です。

自筆証書遺言そのものが悪いわけではありません。法律上の要件を満たしていれば有効です。ただ、銀行からすると、公正証書遺言に比べて確認事項が増えやすいのが事実です。

たとえば、次のような点が問題になります。

  • 日付があいまい
  • 署名が不十分
  • 押印がない、または不自然
  • 加筆修正の方法が適法でない
  • 全文自筆の要件に疑義がある
  • 家庭裁判所の検認が済んでいない

自筆証書遺言は、遺言者本人が作成するため自由度が高い一方で、形式不備も起こりやすいです。

銀行としては、無効の可能性が少しでもある遺言書に基づいて払戻しをするのは大きなリスクです。そのため、少しでも不自然な点があれば慎重になります。

また、法務局の保管制度を利用していない自筆証書遺言の場合は、通常、検認手続きが必要です。これを経ていない段階では、銀行で手続きが進まないことがほとんどです。

銀行が嫌がる遺言書の特徴④ 相続人以外や遺留分をめぐって争いになりそうな内容

銀行は法律上の最終判断機関ではありませんが、トラブルの火種が見える遺言書には非常に慎重になります。

たとえば、

  • すべての財産を一人の子に相続させる
  • 面倒を見てくれた親族以外には何も渡さない
  • 相続人以外の第三者に多くの財産を遺贈する
  • 他の相続人への配慮がまったくない

このような遺言書は、遺留分侵害額請求などの問題に発展する可能性があります。

もちろん、遺留分があるからといって遺言書が無効になるわけではありません。

しかし、銀行からすると、「あとで他の相続人から異議が出るのではないか」「払戻し後に紛争に巻き込まれないか」という懸念が生じます。

その結果、窓口では簡単に処理してもらえず、場合によっては他の相続人の関与や追加の確認資料を求められることがあります。

つまり、銀行が嫌がるのは、単に偏った内容の遺言書というよりも、後で争いになりそうで、銀行の判断責任が重くなる遺言書です。

銀行が嫌がる遺言書の特徴⑤ 遺言執行者の指定がなく、手続きを進める人がはっきりしない

遺言書の内容が比較的明確でも、誰が実際に手続きを進めるのかがはっきりしないと、銀行としては対応しづらくなります。

ここで重要になるのが、遺言執行者の指定です。

遺言執行者が指定されていれば、その人が遺言の内容を実現する中心となります。銀行側も窓口を一本化しやすく、必要書類の案内や手続きの流れが整理しやすくなります。

一方で、遺言執行者が指定されていないと、

  • 受遺者が手続きするのか
  • 相続人全員が関与するのか
  • 誰が代表して書類を提出するのか

が分かりづらくなります。

特に相続人間の関係が微妙な場合や、遠方の相続人がいる場合には、これだけで実務が滞ることがあります。
遺言執行者の指定は必須ではありませんが、銀行手続きのしやすさを考えると非常に有効です。

銀行が嫌がる遺言書の特徴⑥ 作成経緯に不自然さがある

銀行は通常、遺言能力そのものを詳細に判断する立場ではありません。

しかし、遺言書の内容や見た目、作成時期などから、不自然さが強く感じられる場合には慎重になります。

たとえば、

  • 亡くなる直前に急に内容が大きく変わっている
  • 明らかに筆跡が不自然
  • 高齢で判断能力に不安がある時期の作成
  • 以前の遺言と大きく矛盾している

このような事情が見えると、銀行側としては内部判断だけで処理しにくくなります。

もちろん、銀行が医師のように判断能力を認定するわけではありません。ですが、相続人から異議が出そうな事情が見えている場合には、より安全な資料や追加説明を求める方向に動きやすいです。

銀行が嫌がる遺言書の特徴⑦ 専門家チェックを受けておらず、実務とのズレが大きい

遺言書は法的には本人だけでも作成できます。

しかし、実務では“法律上は一応作れていても、手続きでは使いにくい遺言書”が少なくありません。

たとえば、本人としては丁寧に書いたつもりでも、

  • 財産の表示が古い
  • 銀行名や支店名が変わっている
  • 不動産と預金の書き方に統一感がない
  • 「相続させる」と「遺贈する」が混在している
  • 予備的な記載がなく、先に受け取る人が死亡した場合に困る

といった問題が起こります。

このような遺言書は、相続人にとっても使いにくく、銀行手続きでも説明が増えます。銀行が嫌がるというより、実務処理の負担が大きくなる遺言書といえます。

では、銀行で通りやすい遺言書にするにはどうすればよいのか

銀行が嫌がる遺言書の特徴を逆から見れば、作成時のポイントも見えてきます。

まず大切なのは、誰に、どの財産を、どのように承継させるのかを明確に書くことです。

特に預貯金については、金融機関名や支店名など、対象が分かる形にしておくことが望ましいです。

また、自筆証書遺言を作成する場合でも、形式不備を避ける工夫が必要です。少しでも不安がある場合は、公正証書遺言を検討した方が、銀行手続きとの相性は良い傾向があります。

さらに、相続人間の火種を増やさない配慮や、必要に応じて遺言執行者を指定しておくことも、実務上は大きな意味があります。

遺言は「書けば終わり」ではなく、亡くなった後に実際に使える形になっているかが重要です。

まとめ

銀行が嫌がる遺言書には、いくつかの共通する特徴があります。

それは、

  • 内容があいまい
  • 財産の特定が不十分
  • 形式面に不安がある
  • 相続人間の争いが予想される
  • 手続きを進める人がはっきりしない
  • 作成経緯に不自然さがある
  • 実務とのズレが大きい

といった点です。

遺言書は、相続対策として非常に有効です。しかし、せっかく作るのであれば、単に「気持ちを書く」だけではなく、銀行や各種相続手続きの現場で実際に使いやすい内容にしておくことが重要です。

特に北九州で、相続人が複数いるケース、銀行口座が複数あるケース、相続手続きの負担を家族にかけたくないケースでは、遺言書の作り方ひとつで、その後の負担が大きく変わります。

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遺言書は、作ることが目的ではなく、ご家族が困らずに手続きを進められることが本当の目的です。北九州で遺言や相続対策をご検討中の方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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