はじめに
「昔、公正証書遺言を作っていたはずなんですが…」
最近、このご相談が増えています。
特に、家族関係が少し複雑になっているケース。
例えば今回のように、
父は数年前に公正証書遺言を作成。
相続人は妻、長男、次男。
ただ最近になって、次男が父に新しい遺言を作らせようとしているらしい。
しかも、内容は次男に有利かもしれない。
ここで多くの方が不安になるんですよね。
「前の公正証書遺言はどうなるの?」
「新しい遺言が全部優先されるの?」
かなり気になるところだと思います。
実際、遺言が複数存在するケースは珍しくありません。
そして、この問題は“どちらが本当の意思なのか”という話にもつながっていく。
今日はそのあたりを、実務目線で整理してお話しします。
結論
遺言書が複数ある場合、
原則として“新しい日付の遺言”が優先されます。
つまり、後から作成された遺言が有効になる可能性が高い。
ただし、
- 内容が一部だけ違うのか
- 全部を書き換えているのか
- そもそも有効な遺言なのか
ここによって結論が変わる。
個人的には、このケースは
“新しい遺言があるか”より、“どういう経緯で作られたか”の方が重要だと思っています。
公正証書遺言があっても変更はできる
まず前提として、公正証書遺言はかなり強い遺言です。
公証人が関与する。
形式不備も少ない。
そのため、トラブル防止の意味では非常に有効。
ただし、「一度作ったら変更できない」わけではありません。
本人の意思があれば、新しく作り直すことができる。
ここ、意外と誤解されやすいです。
新しい遺言が優先される理由
民法では、後の遺言が前の遺言と矛盾する場合、
後の遺言で前の内容を撤回したものとして扱われます。
つまり、
昔は「妻に自宅を相続させる」と書いていた。
でも新しい遺言では「次男に相続させる」と書いている。
この場合、後の内容が優先される可能性が高い。
ここがかなり重要。
「全部が無効になる」わけではない
ただ、ここ少し注意。
新しい遺言が出たからといって、
前の遺言すべてが消えるとは限りません。
例えば、
- 自宅についてだけ変更
- 預金部分だけ変更
こういうケース。
この場合、変更された部分だけ後の遺言が優先される可能性がある。
つまり、“どこが矛盾しているか”がポイントになる。
一番問題になるのは「本人の意思」
実務でかなり揉めやすいのがここ。
「本当に本人が望んでいたのか?」
特に今回のように、
- 特定の相続人が強く関与している
- 急に内容が変わった
- 高齢になってから作成された
こういうケースでは疑問が出やすい。
「誘導されたのでは?」
「正常な判断ができていたのか?」
ここが争点になることがあります。
北九州でも増えている“遺言の作り直し”
北九州でも、遺言を何度か作り直すケースは珍しくありません。
特に、介護状況や同居関係、特定の子どもとの距離感が変わった時。
感情の変化が、そのまま遺言に反映されることもある。
だからこそ、後から家族間で疑念が生まれやすい。
「新しい遺言=絶対有効」ではない
ここも重要です。
後の日付だからといって、必ず有効とは限らない。
例えば、
・認知症などで判断能力がなかった
・形式不備がある
・強引に作成された疑いがある
こういう場合。
遺言無効の問題になる可能性もある。
ただ実際には、ここを争うのはかなり大変。
感情的負担も大きいです。
公正証書遺言は比較的強い
ちなみに、公正証書遺言は比較的争いに強いです。
公証人が関与している。
本人確認も行う。
そのため、「形式不備」は起こりにくい。
ただ、それでも完全に争えないわけではない。
特に意思能力の問題は別。
ここは誤解されやすいところですね。
「遺言を書かせているのでは?」と思った時
実際、家族として不安になることはあります。
急に特定の相続人が関与し始めた。
面会を制限している。
財産の話ばかりしている。
こういう状況。
ただ、感情的に動くと余計に関係が悪化することもある。
だからこそ、
まずは現状を整理する。
ここがかなり重要になります。
遺留分の問題もある
仮に新しい遺言で次男が大幅に有利になっても、
妻や長男には遺留分がある可能性がある。
つまり、“最低限の取り分”は請求できる可能性がある。
ここも重要なポイントです。
個人的に感じること
実務をしていて感じるのは、
遺言そのものより、“遺言が作られる過程”で家族関係が崩れるケースが多いこと。
「誰が親に近づいているか」
「誰が財産管理をしているか」
この空気感で揉める。
だからこそ、遺言は内容だけでなく、“透明性”も大事だと思っています。
まとめ
遺言書が複数見つかった場合。
原則としては、新しい遺言が優先される可能性が高い。
ただし、
- どの部分が変更されているか
- 有効な遺言か
- 本人の意思があったか
ここによって結論は変わる。
特に、特定の相続人が強く関与しているケースでは、後から大きな問題になることもある。
個人的には、
“遺言があるか”だけではなく、“どう作られたか”を冷静に見ることがかなり大事だと思っています。
北九州で遺言・相続問題にお悩みの方へ
「新しい遺言を作っているかもしれない」
「家族の動きに少し違和感がある」
実際、その状態からご相談に来られる方は少なくありません。
そして、早めに状況を整理しておけば良かったというケースもあります。
行政書士74事務所では、北九州市・下関市を中心に、
遺言や相続人調査、相続全体の整理サポートを行っています。
いきなり争う必要はありません。
ただ、今の状況を整理しておくだけでも、今後の動き方はかなり変わることがあります。
少しでも引っかかる部分があるなら、そのタイミングで。
個人的には、その確認がかなり大事だと思っています。


