財産が少ないから遺言はいらない?その考えが危ない理由を北九州の行政書士が解説

目次

はじめに

「うちは財産なんてないから、遺言を書くほどじゃないですよ。」

この言葉、本当によく聞きます。

預金が少ない。
不動産も古い実家くらい。
相続税もかからない。

だから遺言はいらない。

…でも、相続の現場を見ていると、少し違うんですね。

むしろ私は、

“普通の家庭ほど遺言がないことで困る”

そう感じています。

相続って、財産の金額で揉めるとは限らない。

財産が少ないから簡単。
これ、かなり危ない勘違いなんです。

今日は、「財産が少ないから遺言はいらない」

そう思っている方に向けて、北九州で相続実務を行う行政書士の立場からお話しします。

結論

遺言は、

お金持ちが作るものではありません。

個人的には、

“残された家族が動けるようにする意思表示”

だと思っています。

相続では、亡くなった方の意思表示がないと、そもそも手続きが止まることがある。

預金。
不動産。
生活費。

これらを自由に使えなくなる。

だから遺言は、財産額の問題ではなく、

「亡くなった後、家族が困らないか」

の問題なんですね。

財産が少なくても相続手続きは発生する

ここ、かなり大事です。

「財産が少ない=手続きも簡単」

こう思っている方、多い。

でも実際は違う。

相続では、

・預金
・不動産
・株式
・保険
・自動車

財産の金額に関係なく、名義変更や解約手続きが必要になる。

例えば預金100万円。

少額です。

でも銀行からすると、100万円でも1億円でも同じ。

相続人確認。
戸籍。
協議。

必要になる。

つまり、

少額だから手続きが不要になるわけではない。

ここ、かなり重要です。

「家族だから自由に使える」は勘違い

これも実務で多い誤解です。

親が亡くなった。
預金がある。

だから子どもが生活費として使う。

気持ちは分かります。

でも法律上、亡くなった方名義の財産は、その瞬間から相続財産。

勝手に使えるわけではない。

銀行も、死亡を把握すると口座を凍結することがあります。

つまり、

家族だから自由に使えるわけではない。

ここを知らない方、かなり多いです。

事例① 預金200万円でも手続きが止まった相続

実際にありそうな事例です。

母が亡くなった。
父はすでに他界。

相続人は長男と次男。

財産は預金200万円ほど。

「たいした財産じゃないし、すぐ終わるだろう」

そう思っていた。

ところが。

兄弟間で話がまとまらない。

昔の感情。
介護負担。
距離感。

預金は少額でも、人の感情は少額ではないんですね。

結果、銀行手続きが進まない。

預金は凍結状態。

何年も止まる。

実はこういうケース、珍しくありません。

遺言があれば、

「母はこうしたかった」

この方向性が見えたかもしれない。

財産が少ない相続ほど「話し合えばいい」が危ない

ここ、少し強く言いたい部分です。

「うちは兄弟仲がいいから。」

この言葉もよく聞きます。

ただ相続って、

元々仲が悪かった人より、

“仲が良かった人がズレ始める”

方が多い印象があります。

なぜか。

相続は非日常だから。

悲しみ。
疲れ。
お金。
親族の空気。

いつもの判断ができない。

すると、

「そんなつもりじゃなかった」
「不公平じゃない?」

こうなっていく。

個人的には、

相続で揉める原因って、悪意より、

“意思表示不足”

の方が多いと思っています。

事例② 実家だけ残った相続で動けなくなった

こちらも実際によくある構図。

財産は古い実家だけ。

預金はほとんどない。

「こんな家、揉めないだろう」

そう思っていた。

でも遺言がない。

相続人は兄弟3人。

長男は住みたい。
次男は売りたい。
長女は関わりたくない。

話がまとまらない。

するとどうなるか。

不動産名義変更が進まない。

売却できない。
活用できない。
固定資産税だけ払う。

かなり苦しい。

実家1つでも、こうなるんです。

財産が少ないかどうか。
そこじゃない。

「方向性があるか」

なんですね。

遺言は「金額」ではなく「意思」を残すもの

ここ、かなり大事です。

遺言というと、

「財産をたくさん持っている人が書くもの」

と思われがち。

でも違う。

例えば、

「実家は長男へ」
「預金は兄弟で平等に」
「妻には安心して住んでほしい」

こういう意思。

これを残す。

金額ではなく、

“自分の考えを残す”

ためのものなんですね。

だから私は、遺言は資産家向けではなく、普通の家庭こそ必要だと思っています。

北九州で実際に多い相談

北九州でも、

「こんな少ない財産で遺言必要ですか?」

という相談、本当に多いです。

でもお話を聞くと、

・子ども同士が疎遠
・実家問題
・再婚家庭
・介護負担差

こういう事情がある。

つまり、

財産は少なくても、事情は複雑。

ここなんですよね。

そして亡くなった後、多くの相続人の方が言います。

「遺言書を作成してくれていれば良かったのに」

財産を受け取る側の気持ちを考えて作成することが重要です。

遺言があると家族は動ける

遺言がある相続。

もちろん100%揉めないわけではありません。

ただ、

“判断基準”

がある。

これはかなり大きい。

誰が決めるのか。
何を優先するのか。

亡くなった方の意思が見える。

相続人は、そこから動ける。

遺言って、財産管理というより、

家族の迷子防止

なんですよね。

私はそう思っています。

個人的に感じること

少し個人的な話です。

私は相続相談を受けていて、

「財産少ないから大丈夫」

という言葉を聞くと、少し心配になります。

なぜなら、

実際に困っているのは、
“普通の家庭”だから。

預金数百万円。
実家だけ。

その相続で何年も止まる。

これは珍しくない。

だから私は、

遺言は相続税対策ではなく、

家族への最後の意思表示

だと思っています。

まとめ

財産が少ないから遺言はいらない。

この考え方。

少し危ないかもしれません。

相続は金額ではなく、

・誰が相続するか
・どう手続きするか
・誰が判断するか

ここで止まる。

意思表示がないと、預金も不動産も自由に動かせない。

だから遺言は、

財産額ではなく、家族が困らないために作るもの。

個人的には、そこが一番大切だと思っています。

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