はじめに
相続は、誰にでも起こり得る身近な出来事です。
しかし、実際に家族が亡くなって初めて、
- 何から手続きを始めればいいのか分からない
- 必要な書類が多そうで不安
- 自分でできるのか、専門家に頼むべきか迷う
と感じる方がほとんどではないでしょうか。
相続手続きは、期限があるものや順番を間違えると手間が増えてしまうものもあり、「全体の流れを最初に知っておくこと」がとても重要です。
この記事では、相続を初めて経験する方にも分かりやすいよう、相続手続きの基本を 「5つのステップ」に分けて、順を追って解説します。
「まず何をすればいいのか」
「どこまで自分でできるのか」
「専門家に相談すべきタイミングはいつか」
こうした疑問を整理しながら、相続手続きの全体像をつかんでいただける内容になっています。
これから相続に向き合う方が、少しでも安心して次の一歩を踏み出せるよう、ぜひ最後までご覧ください。
① 相続とは?
相続とは、亡くなった人(被相続人)の財産や権利・義務を、遺された家族など(相続人)が受け継ぐことです。
■ 相続関係図(法定相続人は誰になるか)

法律(民法)で定められている相続人を、法定相続人と言います。
法定相続人には、相続できる順位があり、第一順位は子(孫)、第二順位は父母(直系尊属)、第三順位は兄弟姉妹(甥姪)となっています。自分より上の順位がいる場合は相続人にはなりません。
因みに、配偶者は常に相続人になります。
また、被相続人より先に子や兄弟姉妹が亡くなっている場合は、子の代わりに孫が、兄弟姉妹の代わりに甥姪が相続人になります。(代襲相続といいます)
このように、相続人が誰になるのかは家族構成や亡くなった順番によって変わるため、相続手続きを始める際には、まず法定相続人を正確に確定することが大切です。
相続人を誤ったまま手続きを進めると、遺産分割協議や預貯金の相続手続きなどをやり直さなければならない場合もあります。
そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍などを収集し、誰が法定相続人にあたるのかを確認する「相続人調査」を行います。
② 相続財産とは?
預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も相続財産となります。
亡くなった方が死亡した時点で所有していた物が相続財産となります。
■ 相続財産の種類

相続手続きを進めるには、まず相続財産を正確に把握することが重要です。
預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も確認する必要があります。
調査が不十分なまま遺産分割や手続きを進めてしまうと、後から新たな財産や債務が見つかり、やり直しになることもあります。
そのため、被相続人の財産や負債を漏れなく調査し、全体像を把握することが大切です。
行政書士74事務所では預貯金や不動産の調査だけでなく、信用情報機関を利用した負債調査にも対応しております。
③ 相続の方法
相続には「どのように財産を分けるか(分割のルール)」という3つの代表的な方法があります。
亡くなった方の相続がどれに当てはまるかを把握することで、スムーズな相続手続きにつながります。
【1】法定相続(ほうていそうぞく)
法律で決まった割合で財産を分ける方法です。
■ 法定相続人と割合の一例
| 相続人の構成 | 配偶者 | 子ども | 親・兄弟 |
|---|---|---|---|
| 配偶者と子ども | 1/2 | 1/2(人数で等分) | – |
| 配偶者と親 | 2/3 | – | 1/3 |
| 配偶者と兄弟 | 3/4 | – | 1/4 |
【2】遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)
相続人全員が集まって、どの財産を誰がどれだけもらうかを自由に話し合って決める方法です。後々のトラブルを防ぐためにも、協議書を作成することが基本になります。
■ 特徴と注意点
- 法定相続割合に縛られず、相続人同士で自由に分け方を決められる
- 必ず「相続人全員の合意」が必要(1人でも反対すると無効)
- 決定内容は「遺産分割協議書」にまとめて実印・印鑑証明を添える
■ よくある分け方の例
- 長男が不動産を相続し、次男と長女が預貯金を等分する
- 不動産は共有にせず、売却して現金で分ける
- 面倒を見る相続人に多く分ける
- 1人の相続人が全て相続する
相続人の1人が行方不明の場合や、未成年者がいる場合は、家庭裁判所の手続きが必要になることがあります。
【3】遺言による相続
亡くなった方が生前に作成した「遺言書」の内容に従って相続を行う方法です。法定相続や遺産分割よりも優先されます。
基本的に遺言がある場合は、相続手続きがスムーズに進みます。(相続人同士の話し合いがなく、トラブルが少ないため)
■ 主な種類と効力
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で全文を書く。家庭裁判所の検認が必要 |
| 公正証書遺言 | 公証役場で作成。原本は公証役場が保管 |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にできるがあまり使われていない |
■ 注意点
- 内容に不備があると無効になるケースもある
- 相続人の遺留分(最低限の取り分)を侵害すると争いのもとになる
公正証書遺言は信頼性が高く、相続人がスムーズに手続きできるためおすすめです。
④ 遺産分割協議書の作成
相続の方法は3つありますが、相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を相続するかを、相続人全員で話し合う遺産分割協議を行うのが一般的です。
協議がまとまったら、その内容を書面にした遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は不動産の相続登記や預貯金の払戻しなど、多くの手続きで必要となる重要な書類です。
記載内容に誤りがあったり、署名や押印に不備があると手続きが止まってしまうこともあるため、民法等の形式に則って正確に作成することが大切です。
⑤ 各種名義変更手続き
遺産分割協議がまとまり、誰がどの財産を相続するかが決まったら、相続する財産に応じて名義変更や解約・払戻しなどの手続きを行います。
主な手続きには、次のようなものがあります。
- 預貯金の解約・払戻しや名義変更
- 不動産の相続登記
- 自動車の名義変更
- 株式・投資信託などの名義変更
- その他、相続した財産に関する各種手続き
必要となる書類や手続きの方法は、財産の種類や金融機関などによって異なります。
特に預貯金については、金融機関ごとに必要書類や手続き方法が異なるため、事前に確認しながら進めることが大切です。
相続財産の名義変更や解約などが完了すれば、相続手続きも大きな区切りを迎えます。
※自動車の相続手続き専門サイトは現在作成中です(ご希望の方は、通常の下記名義変更サイトをご覧ください)
⑥ 相続手続きの流れ
相続手続きは複数のステップに分かれており、順を追って行うことが大切です。
■ 相続手続きフロー
実際には、ステップ2からが相続手続きになります。
死亡届は、亡くなったことを知った日から7日以内に、市区町村役場へ提出します。
通常は、医師が作成した死亡診断書(または死体検案書)と一体になった届出書を使用します。
相続人を確定するため、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を収集します。
戸籍を確認することで、配偶者や子など、誰が法定相続人になるのかを確認します。
亡くなった方が所有していた預貯金・不動産・株式などの資産と、借金・ローンなどの負債を調査し、相続財産の全体像を把握します。
相続人は、相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に、相続する(単純承認)・相続放棄・限定承認のいずれかを判断します。
特に借金などの負債がある場合は、早めの確認が重要です。
遺言書がない場合は、相続人全員で誰がどの財産を相続するかを話し合います。
協議で合意した内容は、預貯金の解約や相続登記などの手続きに使用するため、遺産分割協議書としてまとめるのが一般的です。
遺産分割の内容に基づき、不動産・預貯金・株式・自動車などの相続手続きを行います。
財産の種類によって手続き先や必要書類が異なるため、それぞれ確認しながら進めます。
相続税がかかる場合は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納税を行います。
相続手続きで必要な書類
- 故人の出生〜死亡するまでの戸籍謄本等
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑登録証明書
- 相続人代表者以外の委任状
- 遺産分割協議書or遺言書の原本
その他、各名義変更手続き時に必要な書類を準備しなければなりません。
最後に
相続は突然発生しますが、手続きを落ち着いて進めるためには「知識」と「段取り」が大切です。
「相続する・しない」の判断も含め、家族で話し合っておくことが円滑な対応につながります。
相続は状況によって対応が大きく変わります。
特に「借金がある」「相続人が多い」「遺言がない」場合は、専門家の力を借りましょう。
相続手続きでお困りの方へ|まずはご相談ください
相続手続きでは、相続人の調査から相続財産の確認、遺産分割協議書の作成、そして預貯金の解約や各種名義変更まで、状況に応じてさまざまな手続きが必要になります。
また、必要となる戸籍や書類も多く、
「何から始めればいいのか分からない」
「自分で進めてみたものの、途中で分からなくなった」
「仕事や家庭の事情で、手続きをする時間が取れない」
といったことでお困りになる方も少なくありません。
そのような場合は、すべてをご自身で進めようとせず、必要な部分を専門家に依頼することも一つの方法です。
行政書士74事務所では、相続人・相続財産の調査や遺産分割協議書の作成をはじめ、銀行口座の相続解約手続きなどを中心に、相続に関する各種手続きをサポートしています。
特に、金融機関ごとに必要書類や手続き方法が異なる銀行・預貯金の相続手続きについては、必要書類の確認・収集から金融機関とのやり取りまで、状況に応じて対応いたします。
「自分の場合、何の手続きが必要なのか知りたい」という段階でも構いません。
まずは現在の状況をお聞かせください。
必要となる手続きを整理したうえで、サポート内容や費用についてご案内いたします。
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